映画二本

 朝の内普段どおりで落ち着いていたのだが、午後から少しずつ熱が出て来た。 何かの菌に感染したか可能性が考えられるが、念のためもらっている抗生剤を飲んでおいた。  もう一つの可能性はサリドマイドを使い始めたので、プレドニンを半量に減らした、そのせいで再び骨髄腫の動きが活発化し始めた・・・と言うことはサリドマイドがあまり効いていないということになる。 このまま熱が続くようだと、明日電話を入れて受診することになる。 とにかく採血して詳しく調べるしかないようだ。
 昨日ケーブルテレビで映画二本を見た。 とくに見たくて見た映画ではなかったが、一本は「ロンリー・ブラッド」という映画で、ショーン・ペンが主役を演じていた。 1985の映画だからペンが25歳の時で、さすがに若々しいのだが、その頃からすでに非凡な演技力を発揮していた。
 もう一本は「ファム・ファタール」という映画で、そのタイトルの意味は妖艶な悪女という意味。 まったく同名の映画があったと思ったが、こちらは韓国映画で、『四月の雪』で清純な女を演じていたソン・イェジンがまさに妖艶な悪女を、男を翻弄しながら、裏社会を生き抜く魔性の女の役で出ていた。
 両映画ともに犯罪者組織に関わる親子関係をテーマとしているのだが、欧米とアジアの違いを如実に感じた。 「ロンリー・ブラッド」の場合はならず者集団のボスを父親の持つブラッドだが、その父親の邪魔者は虫けらのように殺すやり方についていけなり嫌悪するようになる。 ついには犯罪者同士の繋がり、血を分けた親子の繋がりを強要する父親を、大審院という公共の場で父親を告発することになる。 公と私の狭間に立つ主人公の苦悩なのだが、これは論理的で分かりやすい。 いっぽう「ファム・ファタール」のほうは、スリの母親を嫌悪して刑事になった男を母親が身を賭して助けるのだが、最後の最後に切るに切れない親子の恩情が強調される。 たしかに反社会的なアウト・ローの世界では血のつながりは特別なもので、最期のよりどころとなる場合が多いのは分からないではない。 とくに「ファム・ファタール」の場合の身体にヌメヌメとまとわり着いてくるような親子の情や恩の関係は、それが強調されればされるほど少しシラ〜とした気分で突き放して見てしまう。
 
  先月のサイエンスニュースに<免疫細胞の自己攻撃の仕組み解明>というのがあった。
 具体的には、関節リウマチや多発性硬化症などの自己免疫疾患なる病気の場合、自分で自分の体を異物と認識して自分を敵だと勘違いしてしまい、攻撃してしまう特殊な免疫細胞が働く仕組みを解明したと言うことである。
 東京医科歯科大の高柳広教授(骨免疫学)らが11日付英科学誌ネイチャー電子版に発表したとある。 これによって根本的案治療薬などがなかったリウマチなどの病気の新薬開発が今後期待される。
 高柳教授らは、関節リウマチ患者の骨を壊す破骨細胞を活性化させるなど、多くの自己免疫疾患の原因となる「Th17」という免疫細胞に着目。 この細胞で多く発現している遺伝子アイカッパビー・ゼータを特定し、これが活性化すると自分の体に対する攻撃準備が進むことを見つけた。 攻撃を指令するタンパク質などが作られるのを促進する遺伝子「アイカッパビー・ゼータ」が活性化している訳だが、これを標的にすれば、副作用の少ない新たな治療薬開発が期待できるということらしい。