「1Q84」三巻目について

 金曜日受診した。 血液検査の結果CRP値が(3・9→9・2)と再び上昇していた。 この間抗生剤クラビットを飲み続けていたが、抗生剤が効いていないということは、菌による感染ではないことが明らかである。 また尿の検査でも比重や蛋白値も少し上がってきている。 誓約書などを提出してサリドマイドが製薬会社から病院へ届くのが来週末になるので、それまで病状を抑えてこかねばならない。 そこで処方されたのがプレドニンステロイド)20ミリグラム/日である。 受診から帰り疲れたのでさっそくベッドで眠る。 30分ほどして目が覚めると身体が熱い。 寝る前は6度台だった熱が、すでに38・7度まで上がってきていた。 解熱剤を飲もうかプレドニンかと少し迷ったが、プレドニンを飲むことにした。 その後熱は下がったり上昇したりと激しい繰り返し・・・その合間を見てお粥で夕食を済ましてまた寝る。 ところが夜中、寝汗で寝巻きどころか敷布団、掛け布団ともども水をこぼしたようにビショビショに濡れていた。 嫁さんに布団を換えてもらい再び寝るが、寝汗、寝汗・・・で一時間おきぐらいに目が覚めて、パジャマの着替え繰り返して朝を迎える。 脱水が心配だったので、夜中お茶やアルカリイオン水をかなり飲みながら、ようやく夜が明けた頃には熱は下がっていた。 嫁さんがオフの顔を見て、顔が痩せたねぇ、としみじみつぶやく。 たしかに身体が一段と軽くなった感じがしている。 今日土曜日は熱もなく比較的体調は良い。 やや強めのステロイドの作用で一時的に病状が押さえ込まれているのだろうと思う。
 村上春樹著の「1Q84」の三巻目を読んだ。 この小説は当初二巻で売り出されて爆発的な売れ行きだったので、その後著者は第三巻目に手をつけた、と言われていたが、どうもこの話しはウソ臭い。 最初から三巻目は予定されていて、三巻一組の小説だったような気がする。 と言うのはストーリィーを追っていくとすぐ分かることだが、この小説に三巻目がないときわめて不自然なことだらけだからである。 たとえば特定の人々に月が二つ見える1Q84の夏の夜、関東地方に雷がいくつも落ちた夜、ある男女がトランス状態に入って交わった。 そのことは二巻目に書いてあるのだが、その意味は二巻目では伏せられていてまったく分からない。 三巻目でこの小説の核心に触れるそのことの意味がようやく明らかにされている。   当小説の出版に関しては作者がわざわざ姑息な手を仕組んだとは思えない。 多分出版社が意図したことだろうと思う。 発売の少し前に村上春樹イスラエル賞を受賞して、そのスピーチでイスラエルによるパレスチナのガザ攻撃を暗に批判した。 そのスピーチが広く世の注目を浴びていた。 出版元である新潮社は三巻は完成していなかったが、一、二巻が完成していたそんな時に、一、二巻だけでも発表するにはまたとないタイミングと判断したのだろうと思う。 新潮社の中にも小説に出てきた小松という編集長のようなおかしな男がいるだろう。
 さてこの小説についてだが、村上春樹のこれまでの小説の中で、この作品と似た小説を探すとするなら、思い当たるのがかって爆発的に売れた「ノルウェーの森」だろうと思う。 「ノルウェーの森」もラブストーリィだったが、オフが村上作品の中では最も評価しない作品でもある。 当作品はさすがに「ノルウェーの森」よりも大分ましだと思うが、彼の長編作品の中では凡庸な作品だと思う。 しかし世の中の人はそうは思わないみたいで、これら二作品とも売れ行きが群を抜いている。 それにしても凡庸な作品をいろいろな細工はされているが、ここまで読者を飽きさせないで話しを引っ張れる作者の力は、さすがと言うしかない。 わざわざテーマなどには触れないが・・・と言うのもラブストーリィのテーマなどを探るような野暮なことをしても意味がないだろう。 読んで楽しめれば、それで良いのだろうと思う。