がん治療

 昨日病院を受診した。 今回は昨日までちょうど2週間点滴を休んだことになるが採血、採尿の結果白血球→47、血小板→13・2と標準より少し低いが値としては決して悪くない。 ただし尿中に蛋白が10ほど出ているのだが、血液中のトータルプロテインは6・2とやや低い。 再発かどうかを見るための指標となるIGGの値は分かるのが来週になる。 そこでアルブミン値をグロブリン値で割ったA/Gが出ているので、計算すると2・29と出た。 12月から前回まで3か月間ほど2・0ほどで推移していたのだが今回少し上がってきている。 この値はIGGとは直接関係ないが、ある種の参考値になるはずである。 これを一つの指標と見ると12月から続いていた2・0は標準より低い値で、このことは抗がん剤ベルケイドがたいへんよく効いていて、低く抑えられていたということを表している。 上がってきていると言えど今回の2・29でも特別悪い数値ではないと思うが、来週分かるIGG値や採血の値がどう出るかで今の状態がよりよく分かるだろうと思う。 オフの希望としては足の痺れの副作用のこともあり、抗がん剤ベルケイドの点滴は出来るだけ間隔を空けて量も少なくしたいと思っているのだが、医師は今の量18ミリグラムをさらに減らすことには慎重である。 医師としては副作用が出ていても日常生活に特別支障があるのでなければ、治療を優先したいのだと思う。 日々副作用と向き合う患者としては、現在特に何ともないのなら不快な副作用を抑えるために少し薬を減らして欲しいと思い、もし悪くなればその時は薬を増やせばよいだろうぐらいに考える。 これまでの経過を見ているとオフの場合悪くなるのが急激なので、医師としては慎重になるは分からないでもない。

 ただがん治療、とくに抗がん剤放射線によるがん治療は、薬を投与しながら体の回復力や治癒力を助けて回復に持っていくという治療ではないのである。 どうであれ身体に出来たがん細胞を毒薬や放射線によって抹殺して殺してしまおうという治療なので、体の持つ治癒力などを最初から当てにしていない。 逆に毒=薬を入れるため身体をガードしている免疫力なども邪魔になり、免疫抑制剤ステロイドなどを使いガードを下げて抗がん剤を使うことになる。 身体の免疫を抑制するため身体はいろんな病原菌に対してその抵抗力を弱めてしまい、それらに感染するリスクが高まってしまう。 また、抗がん剤=毒の副作用で体の臓器や神経を痛め激しい吐き気や脱毛、激痛、痺れなどに悩まされることになる。 外科的に癌を切除して取り除こうとする手術の場合は、最低手術を受ける体力が必要だが、抗がん剤放射線より少しましだろう。 それを一歩進めて考え出されたのは、IPS細胞によって本人の細胞から臓器を作り、癌に侵された臓器を人工的に作った臓器を取り替えてしまおうということなのである。 がん治療の一段の進歩だが、これも本来の治癒力を使っての治療ということにはならないが、これまでのがん治療よりは少しはマシになるだろう。

 昨日のニュースに、催眠鎮静剤サリドマイドが胎児の手足に重い障害を引き起こす仕組みを、東京工業大学の半田宏教授などの研究チームが突き止めた、というのがあった。 http://www.sakigake.jp/p/news/science.jsp?nid=2010031101000818
 そうか、40年ほど前にサリドマイドの副作用で日本でも手がない子供が多数生まれて、あれほど騒がれたのだが、その仕組みの解明が今日までなされていなかったのだ。そのサリドマイドが骨髄腫の治療に効果があると認可されたのが08年末。 これをきっかけに多発性骨髄腫の病理の仕組みの解明や薬の効果、副作用の軽減などの研究の進展することを期待したい。