第二反抗期なし

 今日はひな祭り、弥生三月の穏やかな春の一日。
 昨日嫁さんの姪、つまり長兄の長女が彼女の夫と一緒に遊びに来た。 二人は三十台前半でオフの息子達の世代、少し遅れた団塊ジュニア世代である。 夫は有名国立大学工学部大学院卒で日立系のコンピューターソフト会社に勤務している。 嫁さんの姪は関西の私立大学卒で、傍目には二人はいわゆる今時としては恵まれたカップルと言えるだろう。 たしかに外見だけで見るとそうなのだが、彼は数年前からうつ病を悪化させていて、最悪の頃には2年近く会社を欠勤ていたという。
  そのことについて彼と少し話をした。 中学の頃から勉強さえしていれば親とか周りは放って置いてくれるので、それが楽だったのでズットそれに甘んじていた、と言う。 自我が育ってくる思春期には親や周りのうるさい人々は鬱陶しいものだが、そんな思いはほとんどなかったと言う。 いわゆる日本でも最近増えてきたと言われている思春期の第二次反抗期がないまま育った世代のようである。 その他彼の目立つ特徴は傍で見ていてもこれは・・・と思うくらい周りに気遣いをする性格なのである。
 そんなことなどをなるべく彼に語らせるようにしながら話しをしていたのだが、自分の考えや意見を言う時には声も一段と小さくなるし、かなり緊張しているのがひしひしと伝わってくる。 これはまだまだ本物ではないなぁ、と思うのだが、それを口に出して言うわけにもいかず、話し終わるのを辛抱強く待ちながら聞くことになる。
 そんな彼も最近は会社に出れるようになっている。 それが何とそれまで飲んでいた一切の抗うつ剤を止めた結果なのだそうだが、半年間掛けて少しずつ少しずつ辛抱強く減らしていったと言うのだ。 そこのあたりをもっと突っ込んでいろいろ聞きたかったが、またの機会に譲ることにした。