静かな野辺送り

 今日から弥生、三月草木も萌えいずる春であるが、体調のほうも先週に比べて悪くない。
 抗がん剤を減らしたこと、点滴の間隔が空いていること、そんなことが体調の良さに繋がっているとすれば、まことに皮肉な話しである。
 昨日、アッチャンの葬儀に臨み手向けする。 兄とその娘の姉夫婦と妹、嫁さんとオフとオフの娘の総勢7人での静かな野辺送りとなった。 92歳と高齢の父親は体調の心配もあって出席を見送った。 葬儀会場の小さな部屋で、多分控え室だろうと思うが、そんな畳敷きの部屋に安置されて寝かされていたアッチャンを棺に移し、生花を入れて飾り出棺した。 葬儀には宗教は関わらず、7人だけで手を合わせての送り出しになったが、決して悪い雰囲気ではなく、むしろみんなの気持ちがまとまってよい雰囲気のなかでの野辺送りとなった。
 昨年亡くなった母親の書き残したメモを嫁さんが持っていたので、オフはそれをみんなの前で読み上げた。 病院に入院していたアッチャンが正月に外泊をしに帰った折に母親がノートにたまたま走り書きしていたメモである。
 ≪可哀想なアッチャン 親としてとても悲しくて貴方のこと 本当にこの世に生まれて何も楽しいこと有りませんね。 わたしの力不足を感じます。
 可哀想なアッチャン。 でも貴方は死んでからはきっと天国へ行きますよ。 ・・・・・   でも、この正月の外泊は楽しいことも有りましたでしょう。≫