民主党の戦略

 昨日抗がん剤の点滴のために病院へ出かける。 まず採血、採尿をして身体の状態をするチェックする。 白血球は27→36、血小板は4・8→11・4とともに上がっていた。 前回血小板が5を切っていたので、点滴が中止になったことを思えばなかなかよい数値である。 やはり10日間以上間隔をあけたのが良かったみたいだ。 ということで今回から3クール目のベルケイドの点滴がはじまる。 当病院兵庫県立がんセンターではこの点滴を20数回(約二年)のクールの入っている人がいるという。 現在この病院ではこの人がベルケイドの点滴の最長回数を更新しているという。 オフもその人にあやかりたいものである。 昨夜は点滴を入れた夜なのでわずかしか眠れなかった。 眠れない夜を眠いショボショボした目で布団のなかで過ごす。横になっているだけで身体が少しでも休まると思ってそうしているのだが、朝4時ごろ起き出して買ってきたまま冷蔵庫に入れている魚類を卸すことにした。 メバル→煮付け、太刀魚→塩焼き、ムニエル、ガシラ(カサゴ)→から揚げの予定、それぞれ鱗を取り内臓を出しておく。 明石の蛸は内臓を出し塩揉み。 コウイカは内臓を出して塩辛にしたのだが、今回はイカ墨を入れて黒造りにしてみたが、二三日後食べるのが今から楽しみである。
 
 沖縄の普天間基地の移転問題が移転先が決まらなくて迷走している。 新聞はそれについて書いている。
 ≪読売新聞社が4〜6日に実施した全国世論調査(電話方式)で、鳩山内閣の支持率は59%となり、前回11月調査の63%から4ポイント下がった。
 不支持率は29%(前回27%)だった。鳩山内閣の支持率は初めて6割を切った。内閣を支持しない理由では「首相に指導力がない」が27%(同13%)に急増した。米軍普天間飛行場の移設問題で、鳩山首相が年内決着を先送りする方針を固めたことなどが影響したとみられる。≫

 時々目を通しているブログhttp://www.google.co.jp/にも以下のような意見が載っていたが、この方はマスコミの対応の稚拙さ、首相の説明不足や無能さを指摘している。
 ≪・今の問題点の一つ。マスメディアが、「社民党」「国民新党」「アメリカの当局者」「鳩山」「岡田」など個別のアクターを追うだけで、そもそもなぜこういう議論が行われているのか、何が問題なのか、どういう歴史的背景があるのかを、まったく伝えていないことだ。相変わらず「冷戦構造」を前提としたかのような「政局報道」ばかり。うんざりするようなミスリーディングを続けている。   ・もう一つの問題。肝心の民主党の側の長期的戦略、意図というものが全く見えてこない。ここでは鳩山首相のコミュニケーション力、語彙力の不足が際立っている。これほど無能で状況追随的な人間が、日本のリーダーをやっているとは信じがたいほどだ。   日本の国際戦略を固めなおすというきわめて重要な作業を行いたいのであれば、民主党が今何を目指し、何を考えているのかを国民にきっちりと説明しながら手順を踏んでいかなければならない。それが全くできないのであれば、過去を踏襲する以外にできることはないだろう。≫

 しかし、オフはこの問題については、首相は難しいこの問題については柳のようなねばり腰を使ってなかなか健闘している方だと思う。
 たしかに相変わらず日本のマスコミは政権上部の各氏の言うことがまちまちだし、「鳩山政権は米国を怒らせる悪い政権だ」と言う政局的な論調でしか報道していないとこの人が書いているのは当たっているが 民主党が国民に沖縄の基地問題の説明をしていないというのは当たっていないだろう。 民主党は沖縄ビジョン(2008)というのを出している。 http://www.dpj.or.jp/news/?num=13649 
 さらに2005年の沖縄ビジョン http://www.dpj.or.jp/okinawavision/ というのがあるのだが、鳩山氏が2008は「政権をとったらすぐに使えように改定した」と言っているように、沖縄ビジョン(2008)は過激だった2005年の内容を柔かくしたものである。
 最近ざっと読んだのだがこの2005のものの行間から読み取れる方向性は何と沖縄の独立である。(沖縄の独立については70年代の沖縄返還に反対していたオフたちが、大学生協の喫茶店で何度も議論し最後に行き着いた結論だった。 当時全共闘に関わった人々がこのビジョンの作成に参加した可能性は十分あるような気がする。)
 琉球新報世論調査によると、沖縄県民の70%が、普天間基地は県外か国外に移転するよう政府が米国と交渉してほしいと思っている。 同時に県民の67%が、普天間基地の移転先を辺野古沖にすることに反対し、賛成は20%しかいなかった。 99年の調査では賛成と反対が約45%で拮抗していた。 自民党の石破氏などは、もっと重要な一国の防衛問題を基地があるから(沖縄の)住民の意向に考慮して決めるというのは見当違いだ、と批判している。 なるほどそうかもしれない。 だが、はたして冷戦が終わって20年経った今、沖縄に今後も基地を置かなければならないどれほどの理由あるのだろうか?
 これまで日本は自民党政権の下安全保障に関してはアメリカとの安保条約にオンブにダッコの対米従属で日本独自の世界戦略といえるもの持っていなかった。 その安保条約の2005年の日米防衛協議でアメリカは沖縄の米軍基地は、従来からの朝鮮半島有事への備えだけでなく、台湾有事、つまり中国と台湾の戦争に備えるためにも必要だと言い出し、それを日米の宣言とした。 だが最近は台湾も急速に親中国になり、米国も中国との協調を重視している。 先日オバマ大統領は訪中で「米国は、中国を世界有数の大国として尊重する。中国に大国としての役割を期待する」などと持ち上げている。 また北朝鮮も日々のガソリンも不足しているらしく、戦争するにも中国のバックアップが期待できなければ到底戦えるような状態ではないし、中国は朝鮮戦争当時のように北朝鮮の戦争の後押しをするとはまず考えられない。 そうした状況を読み韓国では2012年に国連軍の指揮権が米軍から韓国軍に委譲される予定で、在韓米軍は出ていくことがすでに米韓で合意されている。 またその流れで米国は今春、青森県三沢基地から40機のF16戦闘機をすべて米国に引き揚げ、代わりに嘉手納基地のF15戦闘機群(50機)の半分を三沢に移転する話を日本側に持ちかけた。 ところが米軍に出て行ってほしくない当時の自民党政権はこの案に反対して反故にしたのである。
 05年版民主党沖縄ビジョンは、沖縄の歴史を簡単に綴った後、沖縄は中国などアジアとの深いつながりを利用した日本の先端モデル地域になれると書いている。 そして、その具体策のキーワードとして「自立・独立」「一国二制度」「東アジア」「歴史」「自然」を掲げている。 「独立という言葉を使ったのは、日本からの独立という意味ではない」と書いているが、沖縄は経済面で日中両属(一国二制度)に戻り、日本本土とは異なる手法で、中国や東南アジア諸国との経済関係を築いて発展していくとある。 そうすれば、米軍が去った後の経済損失を埋めて余りあると読める。 沖縄は現在は経済面で米軍基地に負うところが大きく、基地は従来経済的な「必要悪」だった。 だが今後は、東京から地方への公共事業のばらまき自体が減ることが確実である。 沖縄ビジョンでは、それを読み込み沖縄の自立を「地域主権パイロット・ケース」にすると位置づけている。 地方分権の究極的な着地点は「霞ヶ関官僚制度の大幅縮小」である。 対米従属下の高度成長期の日本は、官僚制度が自民党というみこしを担いで日本を動かしてきたが、もう政府には低成長でばら撒くお金がない。 上からの地方分権ではなく、下から住民が革命的に権力を霞ヶ関から奪うような展開にならないと、地方分権は進まないのが実情である。  自民党長期政権下、東京に陳情だけを仕事にしていた地方の首長や議会は自主的な下からの政治とは何であるか、それをどのように住民を巻き込み展開するのかまったく知らないといってよい。 そんな中で民主党の沖縄ビジョンは「沖縄を地域主権パイロット・ケースにする」と位置づけている。 沖縄ビジョンの先に民主党は沖縄の人々の「住民自治の精神」がいずれ本土の地方議会にも感染し、各地で下から住民を巻き込んで地域主権を求める動きが起きることを期待しているのだと読み取れる。 うまくいけばこの沖縄の基地問題を皮切りに、対外的には日本がアメリカ従属を離れ自主独立路線を歩み出し、内政的には下からの地方分権が活性化するメルクマールになることが考えられる。 そうだとすると、この沖縄の基地問題こそが民主党の内外に向けた最も重要な国家戦略の要のように思えるのである。 先送りしてでもねばれ、もっともっとねばれ、とオフは鳩山氏にエールを送りたい。 今日のブログは田中宇氏の『国際ニュース解説』http://www.tanakanews.com/から少なからず引用しています。