秋の日のヴィオロンの・・・

 秋の穏やかで静かな日が続いている。 コートの襟を立てて家路を急ぐ木枯らしの季節がもうすぐそこに来ているのだろうが、今ひと時はこの穏やかな秋の日のヴィオロンの日々に甘んじていよう。
 週末首都圏から下の息子がお見舞い来てくれた。 と言っても来たその日は、車を借してくれと言って婚活サイトのメル友へ会いに行く始末である。 その日の夜は、息子に近くに住む娘も加わって、皆で鴨鍋を囲んでアットホームな時を過ごした。 ところが来た時から何となく体がダルそうにしていた娘が、風邪かな、熱が出てきそうだ、とあわてて帰ったが、その日の夜から37度台の熱が出たという。 こんな時期であるから、新型インフルエンザと休日受診をしたが、どうやら単なる風邪ということだったらしい。
 婚活の下の息子は、現在その手のサイトに五人のメル友がいて、メールを交換していると言うことである。 その内今回で三人目と顔合わせをしたところだと言う。 この後今月中あたりに残り二人とも会ってそれらの感触の中から相手を絞って行く、ということらしい。 選んだ三十台の五人をのことを訊いてみると、ごくごく平凡な娘さんから、何かしらの自己実現を・・・と主張を持って生きている人までいるようだ。 その中でどのようなタイプが息子が惹かれるのか今ひとつよくわからないが・・・メールという媒介である程度その人の内面まで含めて知り選んでいくことになるのだなぁ・・・婚活サイトを少し覗いて見て驚いたのは、好きなものいろいろの中に内田樹というパスワードがあり、それで検索すると数名の女子が、好きなものの中に内田氏を挙げている・・・のだ。 高学歴系の人たちだったと思うが・・・何ともなぁ・・・ 日本では少し前まで、ほとんど選択の自由とか余地のない親が決めるお見合い結婚が当たり前であったことを思えば隔世の感であるが、一方では豊富な選択の自由があることでかえって選べない迷路への迷いやプレッシャーなども出てくるのだろうなぁと思う。

 相変わらず眠れない夜を過ごしていたが、息子が高速深夜バスで帰った昨夜はさすがに疲れたのかよく眠れた。
 一方で味覚の絶不調はすざましいもので、息子や嫁さんがこれ以上塩辛かったら食べれない、と言っているスパゲッティが塩味を忘れているのではないか、と思いながら食べていたし、
珈琲の匂いや味がまるっきり分からない。 昨夜飲んだ時などは・・・たぶん目隠しして飲まされていたら、信じられないことかもしれないが、お湯か珈琲か分からないほどの状態だった。