入院生活

 20日の朝に入院。 用意されていた部屋は二人部屋で少しは助かる。 同室のもう一人の人はリンパ腫で入院して、自家移植をしてリンパ腫そのものは抑え込めて落ち着いているらしいのだが、肺に問題が起きて肺が少しづつ縮んでいて小さくなって来ているという。 そこで肺の内部に圧を掛けて肺を広げている、また肺は間質化してきているので酸素吸入が命綱になっていてベッドから動けない状態である。 う〜ン末期なのだろう。
 入院の日、オフの方は午前中CT検査、採血、採尿があり、午後からはマルク(骨髄穿刺)、これは何度受けても気持ちが引けてしまう。 痛いのでもちろん麻酔を打ってからするのだが、骨に太い針を刺して骨髄液を抜くのである。 二度に分けて抜くが、その抜く時に痛いが、ウッとなる何ともいえない気持ち悪い不快感が伴う。 夕方に急きょ胸のレントゲン。 夜39度台の熱が出る→解熱剤のカロナールを飲む→熱が下がる→朝方大量の汗をかいてパジャマを何枚か着替える。
 翌日朝一番、心電図、心臓エコー検査、肺活量などの検査。 午後、血液培養のための採血。 夕方主治医が来て、ガンマーグロブリン値であるIGGが3000まで上がってきています。 9月末の検査では1100台(標準値は1770以下)だったのに・・・・これは驚くべき早さで一日も早く次の治療を始める必要があります、と言った後、さらに困った顔をして、それにCTの画像に肺に沢山の斑点、大きさはコンマ5ミリほどですが、多数あるのですが、画像検査の先生もこんなのは初めて見るのでこれが何か分からない、と困っています。 真菌の感染や蔓延を防ぐ薬が追加される。 この日は昼、夜二度39度台の熱が出て解熱剤を使って熱を下げる。 朝方再び大量の寝汗をかく。
 三日目、採血、採尿の以外の検査はなし。 昼過ぎプレドニン四錠が追加され飲む、メチャ苦い薬であるが中身はステロイドである。 ステロイド免疫抑制剤としても働くので、体内に訳の分からない菌などを持ったまま使用すると、その菌の繁殖を助けることにもなる。 医師としては肺の異物は悪性のものではないと判断して(たぶん苦渋の選択)これ以上治療を始めるのを遅らせたくないと、抗がん剤治療の前段階の準備に入ったのだろう。 夜、熱は38度台まで上がらなかったが、寝汗がちょうど一時間おきに発汗して大量の寝汗をかく。 夜中汗をかいてベッドに腰かけて身体をタオルで拭いていて、ふと顔を横に向けると暗い中に小さな人が立ってこちらを見ているので、心臓が止まるかと思うくらい驚く。 小さい人と言ってもホイサ〜ホイサ〜のリトルピープルなどではない、 身長140チョイ程の若くて小さくて可愛い看護婦**さんである。 彼女は一見動作が遅くノロノロしていてドン臭いように見えるが、たいへん深い気遣いが出来る人で、この仕事に天性の適性があると思えるくらい優しい人である。 彼女に背中を拭きを代わってもらうが、力が少し弱いので、もっと強く拭いてもいいよ、と言うが、彼女はそのままの力で拭き続ける。 時間は掛るが身体を労わるようなやさしい拭き方で、ややハイになっていたオフの気持ちも彼女のリズムで少しずつ少しずつ静かに落ち着いてくる。
 そして四日目の今日、ステロイドが効いてきたのだろう。 食欲はないが、常時37,8度台だった熱は下がり、お腹が重苦しい感じは遠のき、朝昼の食事を全部食べ、こうしてノートパソコンに向かいブログも書いている。
 来週からいよいよベルケイド将軍の登場で、抗がん剤治療の開始される。 この治療は生ゴミ出しのようなサイクルで、月曜と木曜(もしくは火曜と金曜)の週二回点滴する、これを二週続けて、三週目はお休みで点滴なし―このサイクルをワンクールとして何クールか続ける。 抗がん剤はもともと人体には毒であるので、当然のことだが身体の免疫システムが抵抗する。 それを防ぐためにデカドロンという免疫抑制ステロイドを併用しながらである。 そして採血採尿で薬の効くのをデーター取りしながら継続される。 しかし本来毒である抗がん剤はたしかに癌細胞にも働くが正常な細胞にも働いてしまう。 それがいわゆる副作用なのである。 ベルケイドの場合、心臓、肺、骨髄の機能に副作用が出るがこれは出る人とそうでない人があるが、確実にほぼ全員に出るのが末端神経細胞にある。 軽いものは手足のしびれで、ペットボトルの蓋が開けられなくなったりするが、重くなると手足の感覚がなくなったり、意識障害が出てくる。 そこまで来ると病気を治しているのか、悪くしているのか分からないので、当然治療は中止となる。 また治療開始前に副作用のリスクの説明があり、治療の同意書にサインを求められる。