郵政民営化とデフレ

 久しぶりに経済について書く。 オフはまったくの経済の素人だから、以下はかなり眉唾な話である
 最近は世界的に株価もジワジワと快復してきていて、IMFも成長の下方修正をしたりして世界経済は底を打ったとリーマンショックからの回復が言われている。 オフにはどうしてもそのようには思えない。 ここへ来て為替相場では円が買われて再び円高の流れになってきている。
 http://www.sakigake.jp/p/news/main.jsp?nid=2009091101000182
 ≪東京外国為替市場の円相場は、米国の超低金利政策が長期化するとの観測からドル売りが加速し、一時1ドル=90円67銭まで上昇した。同市場としては2月半ば以来約7カ月ぶりの円高ドル安水準。円高は輸出企業の業績悪化要因となるため、景気回復の足かせとなる恐れもある≫・・・とあり、その背景の原因を ≪市場では、ドルを売って、オーストラリアや南アフリカなどの高金利通貨を買う動きが強まっている。基軸通貨としてのドルに不安を抱く投資家もおり、「ドル離れ」が起きた。金利が比較的高いユーロも買われ、それにつられて円が対ドルで上昇した・・・というのがここへ来ての円高の背景と見られている。≫
 つまりヘッジファンド機関投資家などを中心にして、金利の安いドルで金を調達して、ドルを売りヨーロッパや新興国の通貨や国債を買う動きを強めているということである。 いわゆるドル・キャリー取引がドル安の流れを作っているということである。 アメリカの超低金利政策が長期化するだろうと見て、金利の安いドルで融資を見込んでそこに少しのサヤさえあれば、その差額で金を稼せごうというシビアーな流れである。 たしかに子供が考えてもこれは確実に儲けが出せることは分かる。 その動きに対しては、懲りもせずに本当に逞しいなぁ・・・という苦笑を誘う感想と共に、いったんマネーゲームの世界に入ったからには途中で逃げ出すわけいには行かないのだろうなぁ・・・という同情も感じる。 
 そしてその流れはドル売り、ドル安として現れる・・・この動きはアメリカドルの長期的な凋落の引き金となり世界は多極化の足を早めるだろう。
 しかしあえて言わせてもらえば今回の流れはたんに短期的な市場の動きではなくて、多極化の幕開けが始まったという予感がする。 さらにアメリカ発の金融不安が再発するのではないかと・・・という不安もある。 もちろんそれが取り越し苦労であればそれに越したことはないのだが・・・その背景には
 ≪アメリカは今財政赤字が膨らみ、1兆3783億6100万ドル(約125兆円)となり、これまで最高だった08年度の年間赤字の約3倍に膨らんだ。 財政赤字拡大は長期金利を上昇させて景気回復の足を引っ張るほか、ドルの信認低下につながる。≫とニュース報道がある。http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009091201000082.html
 今は回復基調の流れを言われているアメリカ経済だが、近い将来二番底を付ける可能性はないとは言えない。米国は国内に貯蓄が少なく、低金利国債を発行し続けることができないと言われているからである。 そう考えていくと財政赤字拡大と金利上昇リスクを抱えているアメリカの事態はこの先かなり深刻なものがあるだろうと予想される。
 話は飛ぶが、まあまったく飛ぶわけではないが、それに関連しての話なのだが、オフはこの間先進国の中でどうして二十世紀後半から日本だけがデフレに見舞われ、今だそこから脱出できないでいるのかいまだに疑問なのである。 いろいろ調べたり考えたりしているのだが、納得いく回答を見出せていない。 でも最近その遠因の一つに国内の貯蓄の大きさにあるのではないかと思い始めている。 日本はバブルの破裂以降何度もカンフル的な経済政策を繰り返した。 当然のことながらそれにともなって赤字国債の発行が膨らんでいった。 経済運営の中でそれの舵取りをする者にとって何が一番怖いかと言えばインフレだろう。 本来なら国債の利回りを上げないと買い手が付かなくなってジワジワ金利が上昇して行きついには高金利インフレになるのだが、日本経済は決してそのようには動かなかった。 その背景には低金利でも国債を買いとってくれる大口の買い手がいたという訳である。 その中でも大口のお客さんこそが郵貯であり、簡保である。 何だかんだ言いながら日本人はあの高度成長の時代にコツコツと個人資産を貯めこんでいたのである。
 郵政民営化の着地点は何であったのか? 当時は誰一人それを言い当てる人は居なかったが、結局のところ郵便局の運用の手段が国債でしかないのを民営化して、もっと利回りの良い運用投資をしようということだったのではないか・・・。 もし早々と民営化がなっていればゆうちょ銀行やかんぽ生命の資産運用はリーマンショックで大損害をこうむっていたと思う。 さいわい郵政は民営化されたが・・・一応株式会社になったが、いまだに株は全額国が持っているから・・・実質的にはまだされていない。 もし完全民営化がなされれば、今後ゆうちょやかんぽが超安い日本の国債を買い支えることはなくなるだろう。自民党政権が続いていれば、この先アメリカに言われるままにアメリカ国債を買ってドルの凋落で日本は大損をするという目は消えてホッとしている。 今後万一世界経済が二番底を迎えるとなれば再び経済政策として国債の増発が予想されることになる。 長期金利の上昇は経済を制御の効かないところへ追いやってしまうのだが、そうは言いながら国債を買い支えるのは一千兆以上あるといわれる国民の個人金融資産をバックに買い支えるしかない。 経済理論から言えば本末転倒なのだろうが、その資産的な裏付けこそが今日のデフレの隠れた背景となっていると見るべきではないだろうかと思っている。 そしてインフレよりもデフレが今の日本にはまだしもベターだろうとオフだけでなく、じつは日銀の偉い人達も考えているだろうと思っているのだが・・・。