政治的な軸を

 この国の長期政権を担って来た自民党が今回の選挙で大敗してしまった。
 政権交代がついに現実のものになったということなのだが、ここまで大負けしてしまったのは総選挙を約一年間に渡って延ばしに延ばして来た自民党の執行部の読みの間違いだったろう。 麻生政権が成立した時点ではまだ、自民党への支持が民主党を超えていたと思う。 戦争なら状況の読み違いの上の作戦の失敗による大敗北というところだろう。 オフとしては総選挙後の政界再編を予想していたのだが、こうも大きな差が出てしまうと目に見える形で政界再編どころではなくなってしまった。 政界再編がないまま民主党は福祉政策を重点にして大きな政府的な政策を実行していくことになるだろう。 それに対して自民党は本来なら市場主義的な自由政策を軸に置いて掲げ小さな政府を目指すべきだったが、前回の選挙でアレほど国民の支持を集めた小泉改革を否定する方向に舵を切ってしまった。 そして相も変わらず目先の人気取りのバラマキ政策で人気の快復を願った。 またぞろ原則のない日和見的な政治、政策の繰り返し、政治的な堕落である。 バブルの崩壊以降、経済復興を言い性懲りもなく金をばら撒き続けて、膨大な赤字国債を積み上げてしまっているというのにだ・・・。 戦後のインフラ整備で公共事業で地方の整備発展を目指した自民党政治田中角栄政治の精算することに手を付けた意味ではオフは少なからず小泉改革を評価している者である。 だが一方では小泉純一郎靖国神社に詣でて平和を祈るという国際的には意味不明の言動を何度も意地になって繰り返し、中国、韓国と軋轢を増したことに関しては馬鹿としか言いようがない幼児的な面もあった。

 まあ、政界再編がなくても、それぞれの党がそれぞれの政策や基本方針の軸をしっかり打ち出して、それを元に政治に取り組みさえすればよいのである。 現状では国民世論の支持派社会保障や福祉政策に傾いている。 今後民主党がその世論に乗って福祉を名目に公共サービスの拡大をを目指せば、当然のことながら遅からず財政が悪化してくるのは目に見えている。 そうした時に自民党が対立軸を打ち出しているかという事になる。 つまり小さな政府、経済成長の重視、社会福祉や保障の抑制、民族的な伝統文化をベースにしたナショナリズム国家観の高揚などを標榜する保守的な政策を掲げた政治的な軸ということになるだろう。 今後自民党がそのような確たる政治的な軸を政策の中心に据えて一貫して民主党に対抗することでこそ政治の差異や緊張を鮮明なものにしていくことになる。 しかし、現状の自民党にその対抗軸を明確に掲げブレなくやれるのだろうか? そしてこの際あえて言わせてもらえば、些細なお金の問題や女の問題などでお互いの足を引っ張るようなマスコミが飛びついて喜びそうな問題を目くじら立てて政治的な争点にしないで、もう少し大人同士になることが政治家として肝心だろうと思うよ。