マイケル・ジャクソン

 少々遅ればせながらマイケル・ジャクソンについて・・・
 オフはとくにマイケルのファンの一人でもなかったし、一世を風靡したムーンウオークとか、彼の作った多少の歌を知っている程度であった。
 今回ウィキペィアを調べてみて、マイケルは少年時代エホバの証人の信者だった母親に連れられて各家庭を回り布教活動をしていた(どうやら1Q84の青豆さんや天吾君と同じ頃のようである)ことなどを知った。 また十人(マイケルは9人目)の子供を抱える家庭は貧しく、父親は厳しく手を上げることはしばしばあったという。 マイケルのダンスはテンポの良いポップス調の音楽に乗せて、機械仕掛けの操り人形のような踊りをウリにしているのだが、今回の突然の死を経てその踊りをあらためて見ていると、たしかにテンポは良くてリズミカルなのだが、どこかかぎりなく哀しい踊りに見えてきてしまう。 http://www.youtube.com/watch?v=V0oKgwAL2vQ

 また彼の歌の中のWe are the world (USA For Africa) はマイケルがわれわれに残した歌の中ではとくに心に滲みる歌である。 ソロで歌っているものはYou Tubeでは見当たらないが、細切れになっている彼がメイキング中のWe are the world ならかろうじてあった。 それよりもマイケルを初め多数の歌い手がキーの高いこの歌を圧倒的な声量で歌っているビデオがあり、これが各歌い手の持ち味が出ていて、なかなか捨てがたい。 
 http://www.youtube.com/watch?v=clZE4Wrrw_w&feature=related

 それにしてもお気に入りのブティック一軒の服を全部買い切ったとか、敷地内に遊園地がある家とか、東京ディズニーランドを貸しきったとか、いかにもスーパースターらしい虚実入り混じった逸話やゴシップがあふれていた。 そしてゴシップの極めつけが少年への性的な虐待疑惑スキャンダルでこれで彼のスーパースターとしての彼のイメージは大きくダウンした。 この疑惑で裁判でイメージダウンを恐れたマイケル側が1500万ドル(15億円)の和解金を払ってケリを付けた。 ところがその後訴えた側の弁護士の秘書が、訴訟は少年の親によってしくまれた「ゆすり」といえるものであり、ゆすり行為に加担した自分を詫びる内容の告白本を出したりしている。 さらに訴えたビバリィヒルズの歯医者の家庭は和解金を受け取った後、大金が手したのも虚しく内部争い家庭崩壊している。 最終的に裁判では無罪を勝ち取ったが、マイケルは性的な虐待についてまったくの無実だったかとなると、これについては限りなく灰色の藪の中の印象が残る。 そもそも歌詞やチャリティコンサートでアフリカに支援しているが、黒人としての自分を誇っていいるようで、皮膚の色を白くしたり、縮れ毛をストレートにしたりしてアイディンティティーがチグハグである。
 子供時代から人気の波に飲まれ、ついにはスーパースターとしての地位を獲得して大金を手にしたがゆえに、彼の人生は空虚な哀しさに包まれている。 プレスリー以来のスーパースターと言われ有り余る金を手にしたが、両者共にどこか淋しい人生を歩んだようだ。 そうそう、マイケルはそのプレスリーの娘と短い結婚生活をしているが、その後両者は犬猿の仲になってしまったというのもどこか悲しく憐れだ。