予断排除

 朝の内はそうでもなかったが、時間が経つごとに寒くなってきた。 カッターシャツの上に薄手の毛糸を着てさらにガウンを着て布団を被ってソファーに寝て本を読んでいたら、嫁さんが下の階から上がって来て、暑い暑い、と言って窓ガラスを開ける。 その嫁さんの上半身は薄いTシャツ一枚である。 動いているものとジッとして寝ているものの違いだけでなく、健康な身体と痩せてガリガリの身体との違いだろう。 本はようやく漱石の「明暗」を再び読み始めた。 病院では四人部屋に移されてから読書は出来ないでいたし、退院してからは事故があって落ち着いて本を読めなかった。
 その事故についてだが、昨日の夜警察から連絡が入り明日日曜日の午後に現場検証と決まった。 今度は嫁さんだけではなくて、相手方の運転手も立ち会うことになった。 と言うことはこの事故を双方の車が接触して起きた交通事故として警察は見直した、と言うことになる。 どうやら昨日嫁さんが主張した保険会社の調査部の意見を受けて、その後双方の車の検証を行なったらしい。 その結果相手方の車のタイヤに摺ったような跡があるのと、嫁さんの車のボンネットにタイヤの跡が付いているのが確認されたらしい。 それでもなおそれを伝える警察官は、まだ100パーセント接触したとは言えないんですが・・・、ともったいぶって断わったと言う。 その警察官は当日も現場へ来た男だが、 Iと言う名前でおおよそ40代だろうと思われるそうだがさらにわざわざ、相手方の人の気持ちも考えてあげて下さい、と言ったそうだ。 おいおい、どちらが事故の原因をつくったと思っているんだ。 どうやら、その警察官は現場の状況を見て、嫁さんの車と横転していた相手方の車の距離が数十メートルと離れていたので、それぞれ単独の事故と頭からそんな風に思いこんだらしい。 近代捜査では予断排除と言うのが事件に関わる者が第一に心がけねばならない大原則だっただろう。 現場での証拠を丹念に集めることが捜査のだ一歩だろう。 何故現在もなお誤認捜査とか冤罪が後を絶たないのか、もう一度再教育すべきだよ、兵庫県警さんよ。 

 そうそう、それに人気グループSMAP草薙剛が逮捕拘留された事件があった。 じつはオフはSMAPというグループの名前程度は知っていたが、そのメンバーの名前などまったく関心がなかったし、もちろんそれぞれのメンバーの顔なども知らなかった。 今回の事件がおきてニュースで草薙容疑者の顔をはじめて見た。 嫁さんからこれぞイケメン顔と訊いていたが、それを見て、そうか、このような顔が女たちが騒ぐイケメン顔かと思った。 その整ったクールそうな顔はどこかかっての大相撲の力士寺尾に似ていないこともない。 そう言えばオフの前の奥さんは寺尾の大ファンだったなぁとフト思い出した。 SMAPジャニーズ事務所の所属でそこで記者会見をした。 ジャニーズと言えばオフがまだ若かったころに初代のグループが登場して、舞台などで踊りながら唄っていたのを思い出す。 当時のオフの感想は、女性の人気を集めていることにヤッカミも少々あって、何だかヘナヘナしたグループだなぁとけなしていた。 だが、今度の事件がらみで星野智幸のブログhttp://hoshinot.exblog.jp/で以下の話を読んだ。
 ≪それにしても、逮捕はともかく、なぜ家宅捜索までされたのだろう? 酔っただけで家にガサ入れされたら、たまったもんじゃない。職権乱用では? 薬物所持を疑ったのだろうか。だとしても、尿検査では検出されていないのに家宅捜索はやりすぎである≫
 オフも今回の嫁さんの事故での警察のお粗末な対応を目の当たりにしたばかりである。 本来何の関係もないそれぞれに事件の背景にどこか似た動きがあることに心寒いなにかを感じてしまう。