景気対策 3

 いよいよ退院が秒読み段階に入ってきた。 明日の朝の採血の結果に問題が何もなければ退院となるだろう。 昨年の八月初めに入院して12月末には一時退院はしたものの、今年の三月初めに再入院して約半年間続いた今回の治療のワンクールが全部終了することになる。 今夜にも担当医と家族を含めての面談があり、そこで現在の状況が明らかにされるだろうが、昨日の採血の結果も悪くなくあまり心配していない。 問題は今回のハードな治療でどこまで病気の進行を遅らせることが出来たかである。 つぎの再発はすでに覚悟しているし、その後の再治療が無効となるった場合、もう同じ治療は出来ないことも十分承知している。 とにかく今は今回の治療に一定の効果があり、この先何年間か生き長らえたことを今は素直に喜びたいと思っている。
 昨日今日明日は結果の記録のための検査などで過ごしている。 昨日は午後からマルクと言って骨髄に針を打って中の骨髄液を採取する骨髄穿刺を受けた。 痛いので背中に麻酔をしての作業である。 今日は首から足の先までのCTを撮影したし、明日は多分全身レントゲンで、2〜30枚のレントゲン撮影を受けることになるだろう。

 これまで事あるごとに経済学者たちは色々な事を言ってきたが、ほとんど当たらなかったと言ってよい。 日本やアメリカのバブルが弾けることを予想していた学者は極めて少ない。 何故当たらないのか? 簡単である、彼らの予想はあくまで今の時代がこの先も続くことを前提にしているからである。 仕事が減ったが自由な時間が増えた→これでは生活が立ち行かなくなる→自由な時間でアルバイトやパートでもして少しでも稼ぎの足しにしよう、と今の人々はこのように考える。 だが、ここで少し違うことを考えてみてはどうか・・・自由になった時間を生活のために使おうと・・・。 生活のため、と言っても今の人はピンと来ない。 生活のため、と言えばどこかへ行って金を稼いでくる事しか考えつかないからだ。 生活というのは本来自分たちの暮らし、つまり衣食住のことを自分の手ですることなのである。 まず<食> 食べることが好きなら自分の食べるものを本格的に自分の手で調理して造ってみることも、本来の意味で生活することなのだ。 蕎麦が好きなら蕎麦を打って伸ばし切って蕎麦を自らの手で造ってみる。 チャーハンが好きなら材を揃えて刻んで、フライパンで炒めてチャーハンを作ってみる。 生活とはこんなことから始まる。 自分で作った料理を自分で食べてみること・・・たとえそれが少々失敗したものであっても自分の手で造ったものは不思議とどこか美味しいものだ。 場合によっては日本一美味しいのではないか、と思えることもあるから不思議である。 さらに空いた土地や、借りれる畑があるなら野菜を造ってみる。 経験者なら知っているはずだが、自分が種をまいて育てた作物はたとえ出来が悪くてもどこか美味しい。 マンション住まいで野菜など作れないという場合もあるだろう。 オフの家は昔街中で商売をしていて一家は店の二階に住んでいた。 もちろん空地はない。 お祖父さんは屋根の上でいくつかの植木鉢にナスを作っていた。 そして一つの鉢からこれだけ沢山のナスが採れたぞぉ、と自慢の種にしていた。 マンションのベランダでも夏野菜のナスやトマトやキュウリぐらいなら十分収穫できるし、冬場なら大根、白菜、蕪なども十分作れる。 次に<衣>についてだが、これについてはオフはあまり書くことがないが・・・前の奥さんは手織の機織り機を使っていたが、しばらくして病気で亡くなり、機織り機はそのまま放置してある。 東京へ出た娘が10年間ほど東京周辺で働いていたが、オフが入院したのを期に仕事を辞めて神戸へ引っ越しして来て、現在失業保険をもらいながらオフの付き添いをしてくれている。 暇な時に毛糸で編み物を始めたが、その内に布を買って来てスカートやワンピース、ズボンなどを造り始め、これって結構面白いわ、と言っていろが今はそれに夢中のようだ。  次に<住>だ。現在は水周りや電器関係の色々な機器の故障などでもついつい業者を呼ぶことになる。 すると業者は買い替えをすすめる。 新品の方が値引きがあって部品を取り換えて故障を直すより安いというのがその理由である。 機器の故障などは故障しやすい箇所はだいたい決まっているので、そこを簡単に取り換え可能にすることは出来るはずであるが、現在メーカーはそれをしない。 消費社会では製品を売ってナンボだからである。 これを改めて故障の個所を取り換えて製品を長く使う仕様にすることなど、現在のメーカーは簡単にできるはずである。 また家だが、これは何度も書いたが家なども素人では建てれないと思っている人が多いかもしれないが、家は意外と簡単に建てれるのだ。 オフも柱や梁の躯体の構造からではないが、ズブの素人でありながら50歳過ぎてから四軒の古い家を一人で解体リフォームした。 屋根や天井、壁、床など全部そんぐり新しくしてである。 家造りは最初にこんな家を建てたいという自分の設計図さえ書けばよいのだ。 これは必ずしも完璧の必要はない。 大まかな構想だけを思い描き、それを元に設計事務所で書いてもらうことが出来る。 柱や梁などの躯体は設計図さえあれば現在はプレカット業者が全部材料を揃え切り刻む下仕事をしてくれる。 その構造材を組み立てる時だけ大工さんや工務店の手を借りれば済むのである。 後は屋根を葺いて、床を張り、壁を造り、天井を張って、サッシや建具、流し台、洗面台、便器、照明器具などを購入して設置すれば終わりである。 高くて怖い屋根葺きと配管、配線は業者を呼ぶ方がベターだろう。 とにかく本を読んで家について少し勉強して、分からないことは工務店や大工さんに徹底的に質問すること、電動カンナと丸鋸と電動ドライバーぐらいは少し良いものを揃えて、挑戦する気があれば家は誰にでも作れる。 これをやり出すと世の中にこんな面白いことがあったのか!とハマってしまうほど楽しいことに気が付くはずである。  考えてみれば今は会社で命一杯働いて金を稼ぎ、その金を頭金にローンを組んで家を購入する。 後はローン返済のために長い年月を会社で頑張らなければならない。 もっとも面白い仕事を他人にやってもらって、しかもそれに金を払っているのだと気が付く人は少ない。
 人が生きていく、あるいは生活する、そのこと自体は苦しみとも言えるし、楽しみとも言えると思う。 ただ現在の消費文化社会の中では、お金を稼いで、そのお金を消費する。 会社で働きお金を稼いできて、そのお金でモノやサービスを買う(交換する)ことである。 つまりお金を消費してこそ、楽しみや豊さが手に入るという仕組みである。 その消費の流れを阻止してしまうとたちまち経済はストップして、世は不況になりたちまち立ち行かなくなる。 現在世界や日本はそんな大不況の唯中にある。 しかし、その不況の中にあって人々の仕事は減って収入も減って困るが、余って出た時間を自分や家族の衣食住の生活のために楽しみながら使う。 このような当たり前のことが当たり前である時代が一日も早く来てほしいものだとオフは考える。 残念なことに現在はそのような仕様の社会になっていないのである。 もうお分かりだろう・・・オフが考える不況対策のお金の使い道の先を・・・。
 このことを言い換えるならば、問題はわれわれにとっての<豊かさ>というものをどうとらえるのか、ということに尽きるだろうと思う。
 生活を組み立てる事、生活する事それ自体が楽しみであり豊さに通じるような、そのような時代がはたして来るだろうか? 今言えることは、今度のリーマンショックアメリカは間違いなく変わるとオフは考えている。 最新の統計ではアメリカの貿易収支(赤字)がかなり改善されている(双子の赤字の内の財政赤字は経済対策で膨らむ一方だが)もちろんこれは現在不景気でモノを買う人が少ないこともあるが、アメリカ人がこの先以前のように赤字を垂れ流しながらモノを買い続ける生活を再び繰り返すかどうか・・・オフはそれはもうないだろうと思う。 時代の歯車が回ってしまったと考える。 アメリカでは21世紀に入って9・11があり、そして今度のリーマンショック、これらを経てアメリカ社会は間違いなく変っていくと思う。 アメリカが変われば世界は変わる。 もちろん日本もその例外ではない。 世界は消費型の二十世紀型生活と決別して、新しいライフスタイルの二十一世紀型の生活を一日も早く確立するべきである。 最近はやたらグリーンだのエコだのと言われているが、科学技術たよりの結局は消費型の金のかかるエコであるが、そんなウソ臭いエコ生活から一日も早く決別すべきである。
 さてさて、景気対策のために本当は何処へ金をつぎ込むのがよいか、について考えを書いてきた。 それはこの先どのような社会が来るかとの予想によって大きく変わってくる。 分からなければ何もしない方がよほどマシである(つまり将来に向けて膨大な借金を残さないからである)ということも忘れてはいけない。 ちなみに一昨日の<なぁん〜でか>のオフの答えはすでに書かれているよね。