景気対策

 昨夜も夕方に入り37度台の熱が出始めたがそれまでで、38度台は出なかった。 昨日は終日暖かい日だったが、今日は朝から雨が降っていて窓の外の風景も小雨にけむっている。 今オフは口の中の唾液の出が極端に悪く口内が渇いて困っているが、雨の日は口の渇きがほんの少し楽な気がする。
 オフの乗っている車はワーゲンのヴェントという2000CCのセダンで、平成7に買ったものである。 最初の所有者は前の会社で、一年後その会社を売買する直前にオフがその車を下取り値で買い取った。 ということはこの車は今年の3月で14年目を迎えた事になる。 まだ国会を通ったわけではないが、政府が史上最大の景気対策の一つの目玉として、14年以上乗った車を新車に乗り換えれば政府がそれに対して25万円補助金を出す、というのがある。 乗り換える車が指定のエコカーであればさらに10万円補助金も上乗せされる。 その他この間取得税も安いらしいので、補正予算が通ってから車を新車にすれば、35万以上の補助を国から受けることが出来る計算になる。 最近この車はおもに娘が乗っているのだが、通算約15万キロの走行距離を走っているが、出足もまだまだあり加速も悪くないくてかなり快調に走れている。 だとしてもこの車の現在の価格を査定してもらえば14年目ということでほぼゼロとなるのではないだろうか。 まあ、新車に乗り換えればいくらかの下取り価格は見てもらえると思うが…そのへんの事にオフは詳しくないのでいくらほどになるのか全く見当もつかない。 しかし政府が補助金をだしている間新車に乗り換えても、さらに販売店の新車乗り換えの下取りの価格の上乗せがあるのかどうか分からない。 補助金が出ている期間にはそれはないような気がするのだが・・・どうなんだろう。 もしそうなら、この間補助金で得をするのは結局我々ユーザーではなくて、販売店とメーカーであるということになる。 たしかに現在車が売れなくて困っているのは車のメーカーで、その下請けの中小の部品会社などは大変なことになっていることは分かる。 この補助金でそれらの会社や従業員に少々のおこぼれが流れる可能性はある。 これってこれまで不景気になるたび公共事業を水増して、大手の土建業の仕事を与え、それらの下請けの中小会社に仕事のおこぼれが流れていただろう構造と同じことだろう。 景気対策補助金と言っても所詮は国民が払った税金である。 それを体よく景気対策の名目で一群の企業に回すというのが本当のところである。  ちなみにオフは現在十分走れるマイカーを後6年ほど、せめて20万Kを超えるまでには乗りたいと思っているし、その時点でまだまだこの車は乗れると思えばさらに乗るつもりである。 よって補助金が出ようと乗り換える気はまったくない。

 さてここでバブル以降の流れを簡単にまとめてみよう。 90年代はじめ中曽根首相がパウザ合意をなして帰ってきた後、内需拡大が叫ばれリゾートやゴルフ場開発などがブーム化しバブル化して天井知らずに値上がりを続けていたが、バブルが弾け土地や株が急激に値を下げ、そのショックがもとで日本経済は長期のデフレ不況に陥った。
 政府は景気回復を名目にその後何度か景気対策を打ち出し、総額100兆円以上にのぼる公共投資を繰り返し史上最大の無駄づかいをしたが、デフレ化した景気は浮上しなかった。 景気対策のばらまき事業で各地の土建業界はとりあえず生き延びたが、何度景気対策をしても一向に民間の景気が回復しないので、土建屋は公共事業で生き延びただけで、実際はどんどん体力を失っていった。 一方日銀は超低金利政策をとった。 これによって二進も三進もいかなかった銀行は史上最大の利益を揚げ、抱えていた膨大な不良債権を処理し終えることが出来た。 しかし世界の中で日本だけの超安いゼロに近い金利に目をつけ、世界の機関投資家やヘッジ・ファンドなどが円キャリー取引をはじめ慢性的に円が売られ、ドルを買いその金で欧米の株や不動産に投資しサブプライムローン問題の一翼を担っていた。 おかげで為替相場では円はかなり安い状態が長く続いた。 これに乗って日本の一部の大手産業、車やエレトリックなどの輸出産業が大きく業績を伸ばし、これまた史上最大の利益を稼いでいた。 金融業と大手輸出産業だけが景気回復しただけなのに、政府やマスコミなどが史上最長の好景気などと騒いでいた。 一方民間のその他の産業や国民はその恩恵は全く受けることなく、相変わらずバブル以来のデフレ不況の中にいたのである。 景気が良い銀行は民家の不況産業に金を貸して稼ぐより、金を稼いでいる会社や資産家たちを対象に国外の株や不動産、国債などの投資信託を売りまくって、その手数料で稼ぎを出していた。 これもまたサブプライム問題の一翼を担っていた訳である。 ところがアメリカのサブプライムローンが破たんしリーマンショックの後は流れは一変した。 欧米を中心にたちまちモノが売れなくなり、円キャリー取引は中止され、円が買われ円相場がアレヨアレヨという間に値上がりした。 それまで恵まれた条件下で史上最大の利益を出していた大手の輸出産業は世界的な不況と円高のダブルショックで在庫の山を前にして派遣社員契約社員を切り捨て、それでも大赤字を出しながら生産調整をしてしのいでいる。 
 最初サブプライムの影響は少ないと言っていた大手銀行も大嘘をついていたようで、決算前には大きな赤字を出していることが分かった。  
 政府は緊急景気対策を言い出し、税金をどん底に落ちた車産業になどに回そうとしているのである。 これはバブル以降のこの間の教訓をまったく理解していないない訳で、業種こそ違えまた同じことを繰り返しそうとしていることになる。 同じことと言えば、先日実施された国民への一律の給付金もそうである。 これは元々公明党からのアイデアらしいが、公明党は前にも高齢者に給付金を一律配った法案を出したが、この党の政策立案力は幼稚なままでせいぜいこの程度のようである。 お金をただで上げますよ、と言っておいて後で取り立てををする(税で)だけのことである。 まあサラ金のようにその間の利息を取り立てないだけましと言えるのだが。 そんなことを考える人もバカだが、お金を貰って喜んでる人々もバカである・・・国民を愚弄するようなこんなセコイばらまきに景気浮揚効果があるとしたら、その国民はバカの集まりであると言えるだろう。
 ではなぜ現在ケインズ流の財政出動はことごとくダメなのだろうか? 簡単にいえばお金を出す出しどころを間違えているからである。 間違ったところへ出すくらいならむしろ出さない方がよほど良いのである。 なぜなら景気対策は、将来の需要の「先食い」でもあって、そのために政府が借金するわけだが、それは子や孫の世代へ「負担のつけ回し」をするだけだからである。
 数日前日経新聞は ≪中長期的に日本の成長力を高めるには、財政による一時的な需要追加だけでなく医療、介護、農業分野などでの雇用創出につながる大胆な規制改革も進める必要がある。単発の財政刺激策だけでは、生産性の低い部門の構造を転換し経済の足腰を強化することにはつながらない≫ とあった。 この指摘は一応正しいと思う。 ただし医療、介護に関してはそれはいえるが、オフは農業分野に関しては企業化を進めるより、何もしないほうがむしろよいだろうと考えている。 それは、なぁ〜んでか?