秘密のボックス

 昨日は夜に入って熱が出てきた。 早めに寝たのだが夜中にはとうとう38度のラインを超えてしまった。 病院では38度ラインを超えると、解熱剤、一般的な抗生剤の点滴が始まるだけではなく、採血してそれを組織培養し感染している場合どんな菌に感染しているか特定を行い、それに見合う抗生剤の点滴に切り替えられる。 肉体がまだまだ菌やウイルス類の感染しやすく、感染に抵抗するだけの力がまだまだ戻っていないからである。
 昨夜はその後よく眠った後、今朝から熱は37度前半のいわゆる微熱まで下がったが、今日は依然37度ほどの微熱は続いていて、何となく身体がダルイ。 今度の発熱は菌の感染というより、一昨日張り切りすぎた影響だろうと思っている。 いきなり外泊だというので、張り切って商店街を買物でしたり、魚を下ろしたり、自分の夕食の用意をしたりして疲れてしまったのだ。  考えてみれば病院に居た時は、立ち上がるのはトイレに行く時ぐらいで、座ってPCにブログを書くぐらいが一番大変な作業だった。

 先日、開かれている三万個の遺伝子と一兆個の閉じられている遺伝子のことについて書いたが、それを引いてきた箇所が下書きに残されていた。 以下に簡単に書かれているのが、これは日本の利根川博士の有名な<遺伝子再構成>構造です。
 ≪免疫細胞の表面には非自己を見分けるタンパク質(抗原受容体)が存在し、アンテナの役割を果たしています。
抗原受容体は免疫細胞全体で10の12乗個(1兆個)の種類にのぼり、それと同数の非自己を識別できると考えられています。
外界からの未知の異物や毒素に対応できる多様性は、この1兆個にのぼる抗原受容体によって保障されているのです。

人間の遺伝子は約3万個しかないのに、どうして1兆種類もの天文学的な抗原識別能力を獲得できるのか。 そのことは大きな謎だったのですが、これを解明したのがノーベル賞を受賞した利根川進博士の「遺伝子再構成」という受容体をつくる遺伝子機構です。遺伝子再構成とは異物を識別する免疫抗原受容体遺伝子ができあがる仕組みのことで、免疫細胞だけが持つ遺伝子機構のことです。受容体遺伝子は独立した1個の遺伝子ではなく、細胞分化のプロセスの過程で、いくつかの遺伝子の断片を寄せ木細工のように集めて1個の遺伝子をつくるというメカニズムのことです。重要なのはあらかじめ作成された青写真の下に免疫抗原受容体遺伝子がつくられるというわけではないということで、まったく無作為に遺伝子の断片が勝手に寄せ集められて1個の抗原受容体遺伝子はつくられます。その結果、1兆種類の抗原受容体遺伝子ができ、あらゆるものが識別可能となるのです。私たちの体内には、それぞれ特定の一つの異物(抗原)と反応できる抗原受容体を持つ免疫細胞があらかじめ用意されているのです。そして、ある特定の一つの抗原とある特定の一つの免疫細胞が結合し、たった一つの免疫細胞のクローン(同一遺伝子を持つ細胞群)が大量につくられ、それによって異物を排除するのが免疫の仕組みなのです。≫

 ここに書かれているのは免疫細胞の抗原識別の構造だが、同じことが遺伝子の開かずの構造にもあてはまる。 それを分かりやすくするためボックスにたとえって言えば、遺伝子はとっさの環境の変化などに対応して遺伝子自身を守るため、あらゆる場合を想定してさまざまな秘密のボックスを持っているのだろう。 その中から環境の急変に対応出来そうなボックスを個々の個体によって違う別々のボックスを開いて、その内の生き残った遺伝子が次からは開かれたボックスとなって次の世代へリレーされるのだろうと思うのだ。 そのために9999億9997万個もの秘密のボックス持つ必要があるのだろうと愚考するのだが・・・違っていますか遺伝子さん?・・・。
 今日もまだしんどいので、これで終わり。