アメリカの経済政策

 アメリカにオバマ政権が発足して、新しい経済政策が次々に発表されそれぞれ実現化に向けて動き始めている。
 ◎まず、議会ではオバマ政権が願っていた景気法案が成立の見通しがようやく立った、上下両院が71兆円に圧縮することで合意したとある。
 http://www.sakigake.jp/p/news/seikei.jsp?nid=2009021201000014
  法案の早期成立を図るため、共和党の一部穏健派の主張に配慮し、対策の規模を8000億ドル超から7890億ドル(71兆円)に圧縮した。上下両院は週内に同法案を可決し、オバマ大統領が16日までに署名し成立する見通しということだ。 景気対策というのは夜が明けてから行灯の火を点すようなことしていてはまったくその効果はない。 どうやらバイアメリカンなどの条項を入れたりしていたアメリカ議員達もそのことを知っていて、ここへ来て急遽両院の歩み寄りで法案が成立したようだ。
 ◎次にFRPバーナンキ議長がインフレ目標政策につて、その方向に進んでいる、と述べたとある。
 http://www.sakigake.jp/p/news/seikei.jsp?nid=2009021101000267
 バーナンキ議長はデフレ対策として、望ましい物価上昇率を示して金融政策を運営する「インフレ目標」について「建設的なステップだと思う」と評価した上で「われわれはゆっくりとその方向に進んでいる」としたとある。 日本でも十年ほど前インフレ目標政策がデフレ対策として与野党や経済学者を巻き込んで盛んに議論されたことがあった。 が結局、日銀などの反対でインフレ目標政策は見送られたという経緯がある。
 ◎次はアメリカ政府であるが、オバマ政権の新しいガイトナー財務長官は金融機関の不良資産買い取りを柱とする包括的な金融安定化策について上院銀行住宅都市委員会で説明した。
 http://www.sakigake.jp/p/news/seikei.jsp?nid=2009021101000505
 この政策は日本がかって作って不良債権を買い取っていた整理回収機構ようなもののようである。

 それにしても不良債権の買取というのは難しいだろうと思う。 帳簿上の価格で買えば、税金による全面的な銀行救済になってしまい、到底国民の納得を得られないだろうから、結局市場価格で買うしかない。 しかしその価格評価が難しい。 日本の場合不良債権は不動産担保付債権だっただろうから評価は地価というものが基準になり比較的容易だったと思える。 今回の金融デリバティブ商品になると基準がなく何がなんだかわからないのだろう。 こういった金融商品は、数学を専攻した金融工学専門家が組み立てたもので、それを扱っていた銀行側すらどれほどのリスクを負った商品なのか分からないと言われている。 サブプライム問題の原因のひとつが、銀行が自分もその価値、リスクを理解できないような商品を売買しまくっていたからと言われているからだ。 不良債権を高く買えば税金で銀行を救済したとの非難を受けるし、安く買おうとすればどの銀行も不良資産を手放さないというジレンマに陥ってしまう。

 またバーナキン議長のインフレ目標政策というのは実際に実施されるとしたら、今回世界で初めての政策になる。 じゃじゃ馬のように制御できなくなり危険な政策だとも言われている。 その結果は興味深いが、世界的なデフレの前では案外何の効果も出ないことが考えられる。