オフジェクション、損と得

 今日のニュースから、
  高額の配当や「円天」と称する疑似通貨を派手に宣伝し、巨額の資金を集めたとされる健康寝具販売会社「エル・アンド・ジー(L&G)」。警視庁などは5日、同社会長の波和二容疑者(75)らを逮捕した・・・とある。
 どうもこの手の事件は後を絶たないようである。 ということはこの先もこの手の事件が続くということだろうと思う。 オレオレ詐欺とか振り込め詐欺と言われる事件も後を絶たないのと同じことのようである。
 この会社の会長は、組織的に会員を集めたのは事実だが、最初からだますつもりはなかった、と言っているという。 この会長はだからわれわれは詐欺罪には当たらないのだ、と言いたいのだろう。 もしこの手の業者が会員を募集する時にあらかじめ、この話にはリスクもありますよ、場合によっては損もありますよの一言断っていたらどうなるのだろうか?
 この世には今回のサブプライムローンがらみで、銀行などから投資信託を買っていて損をした人たちも大勢いるだろうが、それらの人たちもこの事件の被害者とさして変わらない立場にあると言えるような気もする。
 また悪名高いネズミ講などでも、現在は法で違法とされているのだが、それが始まってそれほど広がりがない場合には、それを強制的にストップさせて、すぐにもそれが詐欺だと立証するのはかなり難しいのではないかと思われる。
 市場でモノを売り買いする場合でも、定価通りに買う人もいるし、値切るだけ値切って買う人もいる。 それを見ていて定価で買った人が損をして、値切り倒して買った人が得をしたのだと断定するのはなかなか難しい。 世の中には騙される人と騙す人がいるというが、これも立場が違えばその関係が逆転したりしてかなり微妙なところがある。
 現在の資本主義は人の欲望を全面的に肯定することで成り立っている。 さらに露骨に言えば、得をすることを肯定するならば、それはその逆の損もありを肯定することでもあり、損あり得ありを同時に肯定することで成り立っているとも言えるからだ。