八朔

 今年も残すところ後一日だけとなってしまった。 今年はオフにとってあまり良い年とは言えなかった。 というより大きな曲がり角に立たされた年で、これまでの60年の人生の中でも最大の転機を迎えた年といってもよいのだろうと思う。
 前の日記を調べてみたらその日は5月15日で、その日に骨髄のガンである多発性骨髄腫に罹患していることが告げられた。 その後6月に入って風邪を引き、それが元で急激に体力を失って主に肋骨を中心にして骨の痛みが激しくなり、ついに8月始めの入院、大量抗ガン剤投与治療と続いて年の瀬を迎えることになった。 
 午前中ソファーに横になっていると、頭の先のほうでガラス戸が音を立てている。 この音は何だろうと思っいながらウトウトしていたが、どうやら嫁さんがベランダに出て外からガラス戸を掃除している音のようなのだ・・・今年も終わりだなぁ、と思いながら半分夢の夢の中で聞いている心地よさ。

 一昨日スーパーへ行ったのだが、なんと大好物の八朔が売っていた。 二個ずつ丁寧に包装されていて二個で三百円の値が付いていた。 ハシリのこの時期にしては高いとはいえない値段だったので、四個買ってきた。 さっそく昨日食べてみたのだが、スッパイというより、まだまだ苦くて渋い味だった。 さすがに八朔はこの時期ではまだ早いのだろう。 正月の間このまま眺めるだけにしておいて、時間を置いてから食べることにしよう。