『双調・平家物語』

 最近発売された『橋本治内田樹の対談集』を買って読んだ。
 この本は橋本氏のボケに対して内田氏のツッコミが(先輩を立てているのか)かなり遠慮気味で、お金を出してまで買う事もないと思えるのだが(すいません)たまたまブックオフあたりで見つけたら買ってみる程度の本かなぁ。 ただ、この対談集を読んでいて橋本氏の著作を読みなくなって、早速ネットのブックオフに注文を出して『双調・平家物語』(全12巻)の1、2、4巻を買った(3巻はなかった)のだが、ほぼマッサラ状態の本が送られてきて、ラッキー! おまけに、これを読み始めたが、これがメチャ面白い!のだ。
 オフは『平家物語』とか『保元・平治の乱』などなどを中学時代だったかなぁ、少年向きにダイジェストされたものを読んだ覚えがあるがらいなのだが。 この先死ぬまでに日本の歴史の通史を書いた全集のようなものを読みたいなぁと思っていたところである。 しかし、戦後主流であった階級闘争的な歴史というのはどこか信用できないところがあって、と言うより、歴史などはその書き手の史観でどうとでもなるような一面があることを見せつけられてしまったから・・・そうであるからかえって・・・このような人物中心の講談調のものの方がまだしも分かりやすく信用出来そうな気がするようになってしまった。
 橋本治といえば‘68の東大駒場祭のポスター《とめてくれるなおっかさん、背中の銀杏が泣いてるぜ・・・》在校中の彼がデザインしたものとして有名なのだが 『双調・平家物語』の中の所々に挟まれている、彼のデザインの挿画、どことなくかっての駒場のポスターに通じるものがあるような気がするが、これがまた文句なく素晴らしい。 これらの挿画を何でカラーにして挟まなかったのか・・・対談集の中でも文学系の編集者は絵やデザインなど全然分かっていない・・・と橋本氏が何度もボヤいていたが、まさにその通りだと実感したなぁ。
 オフは橋本治の本は数年前『蝶のゆくえ』を読んでいて、その中の短編「ふらんだーすの犬」には強い衝撃を受けたおぼえがある。