公共事業

 今日のニュースより

8日のニューヨーク株式市場は、大企業で構成するダウ工業株平均の終値が前週末比298.76ドル高の8934.18ドルと2営業日続けて大幅高になった。オバマ次期政権の景気刺激策や米自動車大手3社「ビッグ3」の救済策への期待感で買いが膨らんだ

 とあった。
 アメリカの株式市場は政治や経済ニュースにすばやく反応して、値動きが決まっていく。 それは本来的な健全なあり方なのだろうと思う。 その点日本の株式は、時の首相が何を言おうと、まあ悪い意味でも、よい意味でもという事だが、日銀幹部が記者会見しようと、それに対して株式が素早く反応する事は少ない。 むしろ株式が反応するのは先日のニューヨーク株式相場の上がり下がりで、これにたいしては相似形のように素直に反応している。 いってみれば経済がグローバル化してきた今日では当然といえば当然の動きなのだろうが、日本の政治の動向などはグローバル化した経済の側から見れば、日本国内での地方議会の動向程度の重要性しかないのだろう。
 さて、そのニューヨークの株式相場が反応したのはオバマ次期大統領の経済政策の概要を示したことにあり、そのニュースとは

11月の雇用統計の大幅悪化を受け「2年間で最低250万人の雇用を生み出すための経済再生プランが必要だ」と述べ、大統領就任後すぐに公共事業や新エネルギー分野への投資を柱とする大型景気対策を実施することをあらためて約束した

 さらにオバマ次期米大統領

高速道路網を整備した1950年代以来の大規模な投資を行い、インフラ建設を進めることを明かした上で、「大事な税金を使うためのルールはシンプルだ。早急に使わなければ予算は失われるということだ」と述べ、事業を行う州政府に対して早急なインフラ建設の実施を促した

とある。
 これって、日本でいえば最近すっかり評判を落としている地方道路の整備であり、公共事業の事じゃないのか・・・!
 そこで財源は?・・・という事になるが、日本の場合は道路特定財源と言って別枠でガソリンに掛けた税をその財源に充ててきた。
 どうやらアメリカの場合は、国家が大量の国債を発行して、それをFRBが買い取る、という事をやるらしい・・・のだ。 そのニュースはFRBバーナンキ議長が、FRBは国が発行する国債を購入してでも政府の景気刺激策を支援していく、と少し前の講演で発表している。
 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-35252520081204?feedType=RSS&feedName=topNews

 う〜ん、たしかこれは、かって日銀がおっかなびっくりと講じた手法であったはずだと思うが・・・このことをオフの少ない経済知識で考えてみると以下のようになる。   
 不景気で税収が少ない中でケインズ的な財政出動による公共事業で雇用を拡大する→その結果政府に膨大な借金が山積みされる→国債の信用が下落し→値が下がり利回りが上がる→インフレが進行して→かってのアメリカが辿ったスタグレイションに陥る。 簡単にチャートすると以上のようになる。 が・・・今度はその国債FRBが大半を買い取るのだという。 FRBならそれはいとも簡単に出来るだろう、だって買い取る分のドルをそれだけ多く印刷すればすむことだから・・・。 そうだとしても今度はドルそのものの価値が下がり→インフレという流れが出来るはずだ。 しかしかって日銀がそれをやっても日本はインフレの兆しも起きなかった。 今もそうだが当時の日本は戦後の世界初の頑固なデフレ状態だったが、それがあったから少々の買い取りでもインフレの流れは起きなかったと考えればよいのか・・・。 バーナンキ議長は現在のアメリカの経済は量的緩和を行う程度では経済の活性が起きない状態で、この先インフレの心配はなく、むしろ経済はデフレ状態に入っていると見做していて強気なのだろうか・・・今後の流れが注目される。 でも国家財政にしろ、FRBにあるしろ、借金は借金であっていずれにしろ国民が担がねばならない借金であることには変わりない。 それは八百兆円の借金を抱えている日本もまったく同じ事情なのである。