連帯責任と傲慢さ

 今週の最初の頃は38度台の熱も出ていたが、中頃から38度台の熱は出なくなったし、時々36度台もある。 昨夕水曜日の血液中のウイルス検査の結果が分かり、これまで35個あったウイルスが1個に減っているとの報告があった。 どれだけの血液中の1個か知らないが、とにかく抗ウイルス剤が効いてウイルスは減っている。これが0個になって陰性になった後、1週間ほど様子を見て仮退院できるという事らしい。 当初の予定通り今月の20日頃の仮退院となりそうだ。 だた、何とか無理して食べているが食欲が全然というほどない。、食べ物の味が狂っている。何を食べても美味しいとは思わない。 動物性のものや、油を使って調理したものは匂い嗅いただけで吐き気がして食べれない状態が続いている。

 今日は今週のニュースを二つ取り上げる。
 東洋大 箱根駅伝OK 2008年12月6日 紙面から
 <東洋大陸上部員(20)が強制わいせつ容疑で逮捕された事件で、関東学生陸上競技連盟は5日、都内で特別審査委員会を開き、来年1月2、3日の箱根駅伝への出場を認める一方、大手町と芦ノ湖での応援団を伴う応援禁止などの処分を決めた。 関東学連の青葉昌幸会長は「学生スポーツマンとして、あってはならないことが起こった」と陳謝。「東洋大学はもとより、本連盟の名誉を傷つけた責任は極めて重大である」と断じた。 ただし、一個人の犯罪であることや、チーム活動中ではなかったことなどを考慮して、大会への出場は許可。その一方で、▽再発防止策の提出▽箱根出場校に対する二百万円の補助金停止▽箱根駅伝での集団応援制限−の処分を決定。関東学連の日隈総務委員長は「ノボリ応援も自粛されると思う」と話した。 逮捕された陸上部員は1日付で退部処分となっており、川嶋伸次監督と川野祐司部長は3日に引責辞任している>
 この手のニュースに接するたび、またかよ、と思ってしまう。 体育会の部員が犯罪を起こしたことではない。 それを連帯で責任を取らせようとする、体育会系の上部組織の慣習やその認識や感覚へである。 自分の行為に対して自分でその責任を取るのが近代民主社会の個人の在り方の基本だろうに・・・ このような連帯責任は全体主義社会では社会の統制を取るためにしばしば行われる。 それまでに大会に出場する事を目標に、まじめに、一生懸命練習してきたまったく関係のない部員も、一人の個人の犯罪者のために責任を取ってそれまでの努力が一切パーになってしまう。 今回は幸い高校野球とかサッカーなどより規制が緩いが全員を罰しようという主旨は受け継がれている。 その中のノボリを上げて応援してならないという代替えの罰などには、まじめにそれを言っているようなので笑ってしまうよ。 個人の犯罪は個人の犯罪であり、その個人が所属していた連盟の名誉を傷つけた責任…と言われても・・・今時誰もピンと来ないのではないか・・・この犯罪を犯した当人は裁判で受けたその罰を受けた後も、多分一生この事実が傷となって残ってしまう。 真面目に練習してきたその他の部員たちも彼を許す許さないとは別に、この先ずっと何かふっ切れないわだかまりが残るだろう考えられる。 この手の問題に対してマスコミなどから疑問が上がることは少ない。 なにせ春、夏の高校野球や大学駅伝を共催するのは大手の新聞社で、高校野球連盟などと共存共栄の関係が出来ている。

  <石油元売り最大手の新日本石油新日鉱ホールディングス(HD)は4日午後会見し、平成21年秋をメドに経営統合することで基本合意したと発表した。来年3月をメドに正式契約を行う。・・・統合による売り上げ規模は約12兆円となり、世界8位の石油会社が誕生する>
 そこで1兆円規模で稼ぐ大企業のリスト上位15社を調べてみた。
 2008年のForbes Global 2000を利益順にソートした表から利益100億ドル以上ある15社。うち日本企業はトヨタ1社のみ(50億ドル超の日本企業は、他に4社あったのでおまけで最後に記載しておいた) 今回の金融危機以前のデーターだから正確ではないが、それにしても石油関連企業と銀行の多いことであるよ。
利益順位 ランク
社名                 国     セクター
($bil)
1 5 ExxonMobil          米国    石油・ガス
2 6 Royal Dutch Shell      オランダ  石油・ガス
3 19 Gazprom           ロシア   石油・ガス
4 2 General Electric       米国    複合企業
5 7 BP               英国    石油・ガス
6 15 Total             フランス  石油・ガス
7 1 HSBC Holdings        英国    銀行
8 17 Chevron           米国    石油・ガス
9 30 PetroChina         中国    石油・ガス
10 63 Microsoft         米国    ソフトウェエア
11 4 JPMorgan Chase     米国    銀行
12 3 Bank of America      米国    銀行
13 10 Royal Bank of Scotland 英国    銀行
14 8 Toyota Motor        日本    耐久消費財
15 28 ENI             イタリア  石油・ガス

56 35 Mitsubishi UFJ Financial 日本   銀行
78 253 Resona Holdings     日本   銀行
95 71 Mizuho Financial      日本   銀行
99 68 Honda Motor        日本   耐久消費財

 先のFRB議長のクリーンスパン氏がその著作の中で、ブッシュ政権が国際世論や国連を無視してイラクに戦争を仕掛けたのは石油利権のためである、と書いているらしいが、これらの表を見ていると資本主義社会の利益とは、ほぼ石油がらみであるという事が見えてくる。
 数十年前アメリカはベトナムでの戦争に敗北し、何の得るところもなくアメリカ大使館の屋上からヘリコプターで最後に残った兵士たちが撤退した。 その後、貿易と財政の双子の赤字が膨らみ、インフレ下の不況つまりスタグレィションが進んだ。 今回もイラク戦争でも何の得るところもないまま間もなく撤退が始まる。 やはりここへ来てアメリカのいくつかの金融機関が倒産がはじまり信用不安が起こり、それが実体経済にも波及し今や世界的なデフレが起きている。
 いつ頃になるかまったく分からないが、オフはもう一度アメリカがらみで戦争がある気がする。 この先石油の枯渇がさらに進む過程でそれは起きると見ている。 その戦争がどんな名目であれ、それは直截的言ってしまえば金持ちと貧乏人との間の石油の利権をめぐる戦争である事だけは間違いない。 今回のイラク戦争もテロの脅威を未然に防ぐためのテロ戦争とプロパガンダされていた。 アメリカがテロを未然に防ぐ唯一の道は、自由だの、競争だの、市場だの声高に言いながら自分たちだけで富を独占しようとしないこと。 世界の事を知りもっと謙虚になること。 これ以外の道はないのだろうと思うよ。
 そんなことを今回「バベル」という映画を見ていてフト思った。 それにしてもこの映画に出ていたブラッド・ビッド、ケイト・ブランシェッドはアメリカ人の夫婦そのものを上手に演じていたのだが、その演技の中でアメリカ人の持つある種の傲慢さまで含めて見事に演じ切っていた。