或る事件

 ここのところ日記に経済関係の話題ばかりを取り上げていた。 経済に関してはオフは特に勉強したわけではなくいわば素人だが、最近はニュースを検索していても経済ニュースばかりに目が行ってしまう。 それらのニュースを読みながら自分なりにつらつら考えた事を書いていた訳だ。 少し気になるので経済関係の事を書いているブログを読んだりしたが、専門用語が目立って読んでいてもよく分からないものが多い。 もちろんこの先の流れを知りたいのだが、それを言い当てることは専門家でも至難の業なのだろう。 素人にもわかりやすくしかも鋭く問題の背景を指摘しているようなブログはあんがい少ないものである。 ただ思えたのは、専門家でもこの先流れになると、そんなに見えていないものなんだなぁ、という事だけはよく分かった。 

 昨夜、一時過ぎに娘の携帯が鳴り、出ると前の会社の人からだったと言う。前の会社で大変な事が起こっているという話だった。会社の役員の一人が顧客情報をお金で売買した、という事らしい。理由はどうも、会社に対する恨みらしいのだが、本来なら会社はその役員を刑事告発して警察の捜査にゆだねるのが筋だろうと思うが、今のところ会社は刑事告発はせずにいる。弁護士が対応にあたっているらしく詳しくはわからないそうだ。それにしても最近の社会面の犯罪事件等を見ていて思うのはその動機が非常に幼稚だなぁと思える。それでは昔はたいそうな理由があったかというと、そんなこともなかったと思うが、とにかく考え方が短絡していて幼稚っぽい気がしてならない。
 この会社は娘が入社した数年前は、小さな電話代行業だったが、その後大手会社のアウトソーシングの流れと業務のコンピュター化に乗って、コールセンターと呼ばれるようになり急成長した会社である。が、ここへ来ての不況に直面して緊急融資を受けるほどの窮状を迎えているらしい。

 このような中小の企業は、今回の不況を経てどこも四苦八苦していると思う。サブプライムローンの問題とは縁もゆかりもない会社が経済のグローバル化の波を受けるという、よい例の一つだろう。金融破綻で金融機関は公的資金で救われるが、実体経済に及んだ不況はそのような小さな会社をなぎ倒していく。そこから経済が立ち直るというのはそういう不況に国民や大小の会社がぎりぎりの犠牲と努力を払ってようやく回復する。それらの小さな努力の寄せ集めでしか実体経済と言うものは回復しないのだろうと思う。