株式相場

 どうも胃腸の調子が良くない。どちらかといえば腸の方だと思うが、今回の自己移植の治療でまたかなりのダメージを受けてしまった。普通白血球が上がってくると食欲も回復すると言われているが、今のところその兆しはない。お茶や水などでもほどんど欲しくない。無理して飲んだりしてもその後お腹が重苦しくなって気分が悪くなる。

 オフは現在、株や先物や為替等の相場というものと全く縁がない。それでも以前にふとしたことで少々株を買ってみたことがある。毎日の値上がり値下がりをチェックする事に飽きてしまい、ほぼほったらかし状態だった。数ヵ月後、証券会社の人から連絡があって「現在これこれの値になっていてこれだけのもうけが出ています」と言われた時、本当に驚いた。金額は覚えていないが、確か数十万の利益であったと思う。その金額は自分が1ヵ月働いて得る給料よりも多かったと思う。株で儲かったお金が自分が毎日汗水たらして稼いだ金と同じ金だとは思えなかった。そのように感じた、奇妙な感覚だけは今でもはっきり覚えている。その株は上がり下がりして、結局損はしないまでも大して儲けにならない程度で全部売ってしまった。それ以来、株に対しては一切の興味を失ってしまった。オフの性格からいえば、結果が出るのがまだるっこしい株などの相場よりも、一瞬にして損得がわかる競馬とかの方が向いているなぁと思ったものだ。若い頃はオフも競馬場に頻繁に通ったものであるが、年とともに賭け事に対しては興味が薄れてきてしまった。
株式相場にしろ、競馬競輪にしろ、お金を張ってその結果の損得が出るギャンブルであることには変わりはない。最近は、どういうわけかその相場の事を市場と呼ぶようになり、株式相場は株式市場、先物為替相場は、先物市場、為替市場などと呼ぶようになってきている。どのように呼び変えても所詮ギャンブルはギャンブルなのだが、ギャンブルにつきまとう後ろめたい気分を少しでも払拭させるためにそう呼ぶようになったのだろうか。
 庶民にとって市場とは額に汗して稼いできたお金を手にし、日々の糧を買いに行く場所である。「今日は特売の品を買えて良かった」とか、「おまけしてもらって得をした」とかそういうささいな喜びを、握りしめたお金と交換する場所である。そういう所から離れれば離れるほどどんなに豊かになろうとも人は決して幸せになれないと思う。