映画「ボルベール」他

 外泊3日目。昨夜は22時過ぎから7時過ぎまでと大変よく眠れた。今日の夜で外泊は終わりなのだが、今回3本の映画を見た。まずはケーブルテレビで「オネーギンの恋文」を見た。これはロシアのプーシキンの原作を映画化したものだが、かつて自分を愛した女性が恋文をくれたのだがそれを断る。数年後 旅行から帰郷した男が彼女に再会する。その旅の間にその彼女が自分にとってかけがえのない人だと気づいたのだが、帰郷した時には友人の妻で公爵夫人になっている。その彼女に男のほうから愛を打ち明け、彼女のほうも彼を愛していた事を告白したが彼の愛を拒む。というストーリィである。このような話を現代に再現してみても、なんというかおとぎ話の世界の話のように思えてしまう。
もうあと2本はネットでレンタルしたDVDで、カンヌ映画祭の受賞作品の「デイズ・オブ・グローリー」と「ボルベール」である。「デイズ・オブ・グローリー」は第2次世界大戦にムスレムと呼ばれるアラブ系の若者たちがフランス軍として参戦した話だ。ありきたりの感想だが、戦争の虚しさ、馬鹿馬鹿しさが強く心に残った。
「ボルベール」はオフの好きなスペインのペドロ・アルモドバル監督の作品だ。「オールアバウトマイマザー」「トーク・トゥ・ハー」に続く3部作の完結編である。登場人物は美しい熟女になったペネロペ・クルスをはじめとする女6人で、申し訳程度に男が1名出てくるが、男はすぐに死んでしまう。というか、主人公の13歳の娘に刺し殺されてしまう。
自分の子供から「今殺人を犯してしまった」といわれたとき親として自分ならどのように対応するのか、作品を見ながら考えてしまった。この中では「この殺人は私がやったのであって、あなたは何の関係もなかったのよ」と母親が断言し、子供に納得させる所から物語が展開していく。
 最後に「これは身内だけの話なのだ」という断言がある。
 近代の国家社会における犯罪に対する処罰とはまた別の、家族間の中の人間関係の中で行われてきた処罰・・・-古い時代から続いていた家族の倫理や内法について深く考えさせられる作品だった。