脳と身体

 まず体調から。昨日はいつもと逆に夕方頃から少し気分が良くなったのだが、眠る時間の22時頃からまた徐々に気分が悪くなっていった。飲みたくはなかったが眠るために睡眠薬半錠を無理に飲んだ。夜中はわりとよく眠れたが、朝起きた時はまだ気分が悪かった。なんとか朝食を食べ、再び1時間ほど眠ると気分は少し良くなっていた。今日のお昼過ぎに少しまた便が出た。昨日の黒いものより、焦げ茶色くらいのに変わってきている。

 数年前、新書としては例外的にベストセラーになった養老孟司の「バカの壁」という本があった。オフもブームの終り頃に買って読んだのだが、その中に1つだけ大変参考になった考えがあった。この本はだいたい人間の環境はどんどん脳化しているというようなことについて書かれていたわけである。例えば公園に植えられている木は自然に生えている木とは区別して、「人間がそこに木があったらいいなぁという考えのもと、種類を選ばれて大きさ形を考えて決めて植えられた木である」と言う風に環境は脳化してきていると言うことである。

参考になったという考えは、脳と身体を区分けして別のものとする考えである。普通、自分とか自己という時には脳も身体も一体のものとして捉えるものである。だが養老氏の考えでは、脳と身体を別のものとして捉え、身体は自分に属するものでありながら、また別に自然に属するものであると言うことである。この捉え方に触れた時、それまでのいろんな問題が一気によく見えるようになり、考え方が整理された。

例えば今回の抗ガン剤治療について言うならば、この治療法を考えついたのは脳である。人間の脳は、自然を解釈するためにずっと科学を解明してきたのだが、その一環としてこの化学療法も考えついた。人間の身体に出来た邪魔者、すなわちガンを殺すために、様々な臨床実験を繰り返してこの療法に辿り着いた。脳にとってガンも人間の身体も対象物として捉えられている訳である。身体の方も脳の命令に従う訳ではなく、身体は自分の持つ身体のガードシステムによって動いている。つまり身体は自分を守る為持っている自己免疫システムに従っている訳である。しかし、脳にとっては身体の自己免疫システムはこの治療にとって邪魔になるので、一時的にしろそれを解除しようとする方法を考え出した訳である。

 これまで自己として脳と身体は一体のもので切り離して考えることはなかったのだが、このように切り離して考えると物事が色々と整理され、大変よくわかるようになった。さらにこの問題の面白いところは、これらの考えを考えているのは同じ脳だと言うことである。