デフレ、インフレ・・・

 オフはほとんどTVなども見ないし、新聞も読まない。 ということは当然のことながらマスコミが流すニュースや解説なども見たり読んだりしない。 ニュースの内容だけを追いながらそん背景を自分ながらに考えるしかない訳で、かえってその方が興味を持った事件の顛末を自分で考え、その結果自分なりの考えが築かれてくるようになるものである。  当然ながらとんでもない見当違いの視点も出てくるが、それは修正していけば良いことで、似たような過ちを繰り返さないことないことが大切だろう。

 個人的な感想を正直に書けば、この間日本はデフレだと騒いでいたがそんなに悪いものではなかったなぁ・・・という事である。 そんな事を言えるのはオフはバブルの頃、さして資産を増やすような投資を行わなかったからだとも言える・・・資産デフレにあって土地や株式やゴルフの会員権などで損をした人達には申し訳ないが・・・さらにオフはその後も自分で自分をリストラしたようなもので、まさにOFFな生活に入ってしまい苦しい時代の経営をパスすることも出来たし・・・


  オフは経済に関してはまったくのド素人である。 そんな男が偉そうに経営不振から株価が急落している米保険最大手のAIGに850億ドル(約9兆円)を融資する事の顛末について書いたのか…それはネットで今回のニュースを追っていくうちに、その流れが<面白いなぁ>と感じて、ド素人なりニュースを追う過程で感じた感想を思うままに書いたまでのことである。  今オフが経済について一番知りたいのは、日本がバブルの崩壊以降どうしてデフレになってしまったのか?ということである。 と同時に、今回のアメリカのサブプライムローン問題の後の金融不安、収縮にあたってアメリカはインフレの警戒を言われるが、なぜデフレへの警戒が言われないのだろうか…という事への明快な答えである。 この問題に関していろいろ検索してみたが、これという答えは見つからなかった。 これに関しても自分で考えるしかないようである。

 まず考えるとっかかりに、ちょうど日本のバブルがはじけた頃、中国の市場開放、経済成長が始まった、と考えることができる。 身近ことではユニクロなどの店が出来てそれまででは信じられないような安いカジュアルな商品が手に入るようになった。 でも安いメイド・イン・チャイナは日本だけに輸出されている訳ではない。 アメリカなどはもっと多くの商品を中国から輸入している。 そこでさらに考えていくと、アメリカと日本の経済構造の違いがあることに気が付く。 日本も中国も工業製品を製造輸出してドルを稼いでいる国であるという事がある。 それではアメリカはどうなのだ?と考えていくと、これが経済を工業製品の製造から金融やサービスへシフトしてしまっている国であるという事である。 アメリカが強い分野は、軍事、農業、金融、ハイテクなどがまず思い浮かぶ。 今回のサブプライムローン問題に端を発した経済混乱で、その内の金融部門が危なくなったが、その他の部門ではまだまだ世界をリードしている。 アメリカという国は、工業製品などを輸入して貿易赤字を大きく垂れ流しながらその他の部門で垂れ流したドルを回収しているのである。
 だが、この問題を考えるときにさらに事をややこしくしているのは、アメリカのドルが自国の通貨であると同時に世界の基軸通貨でもあるということである。 ここまで世界経済がグローバル化した現在、世界の基軸通貨がドルではなくてまったく別の新しい通貨にして名実共に世界銀行のような管理の下に置いて欲しいものであるが、それに一番反対するのはアメリカだろうと思われる。  アメリカは経済の国内的な面と世界的な面と同時にこのドルで管理している訳だが、世界のマネーサプライをアメリカ政府のの管理の下に置けることになる。 それがどれほどの旨味があるのか、オフには分からないが・・・ 当然のことながらこれを維持していくには、強いアメリカを維持することが絶対条件になるだろう。
 ドルの世界基軸的な面を考えていくと、大量に印刷されて世界中へばらまかれるドルだが、その供給量つまりマリマネーサプライに基準があるのだろうか? ここからがオフ独自の考えになるのだが、世界経済の成長がある限りその成長分のマネーサプライの増加は許容されるだろうと考えられる。 世界経済の成長は何によって保障されているか、と考えていくとそれは大雑把だが石油の生産量に比例するだろうと考えれる。 世界の人々がその労働で稼いだ分プラス石油の消費量が世界経済のエネルギーの総和だと考えるからだ。 石油というのは世界にとってはタンス預金のようなものであり、そのエネルギーを使ってモノを生産している限り経済成長はその分だけ続くだろうと考えるからだ。
 ドルはその分の供給量内で増加して印刷されている分には大丈夫だろう、と考えるが・・・果たしてその通りの範囲内で印刷されているのだろうか? まずは自国内の経済事情を優先して、その供給量が決められるのを最優先されていると思う。 アメリカが慢性的にインフレの懸念にさらされているという事は、通貨供給量が過多になっているせいではないだろうか。 その埋め合わせに、金融資産としてのアメリカ国債などを売りこみその預かり債権であるゼロが沢山書かれた紙切れでもって、ばらまかれた過剰なドルをとりあえず集めているのだろうと・・・オフは勘ぐるのである。 そこへ今回のような金融不安が起きると、当然のことだが、不安に駆られる世界の金持ちは債権の額を書かれた紙切れと、ドルの交換を要求してくる。 すると隠されていたドルの供給過剰が明らかになり、それに市場が反応して、ドル不安→ドル安→インフレというお決まりの流れが起きて世界的な経済停滞、つまり不況が始まり→それがまたドル安→インフレを加速する・・・という悪夢が続く。
 
  一昨日書いた元モルガン・スタンレー主席エコノミストの、<米金融危機の影響で米国およびグローバルの景気循環において一段と下方修正が生じる>との見解は当然のことだし、<米国景気の調整は従来の住宅を震源したものから、今後は米国消費を震源したものに変わる>と指摘したのは正しい指摘だと思う。
 また、<過去数年間続いた米国の浪費により、アジアの新興国に膨大な利益がもたらされたが、今後は貿易・資本フローを通じてグローバル市場に甚大な影響をもたらす>これもその通りだろう、と思う。  

 それではアメリカの今後のインフレはどうなるのか?
 アメリカの株不安の後石油や金に流れていたヘッドファンドのあふれるような資金は金融不安の中でそのかなりの量はあぶく銭として消えていくだろう。 今後のことはアメリカのFRBや政府の対応しだいであるが、大まかにいえばマネーサプライの供給でインフレを取るにか?デフレを取るのかは分かれるだろうが・・・どちらをとってもかなりのダメージは出てくるだろう。 だがこれだけは言える、今回のことでオフはとりあえず強いアメリカを背景にした世界経済の安定は終わったと見るべきだろう。


 
 それではなぜ日本がデフレに陥ったのか、の答えはまだだが、一足飛びに結論だけを記しておくと・・・そして上手く説明できないが、経済もそのドミステックな国内の人々の心理や願望、かなりメンタルな面に大局的に見れば支配されているような気がしている。 つまり日本がバブルとその後のデフレに陥ったのはもちろんその金融政策による結果だろうが、その金融政策を指導した政府の要人や金融庁の官僚や日銀の幹部たちもまったく国民的な心理や願望を無視しては政策のかじ取りは出来えなかったような気がする。 実も蓋もない考えかもしれないが、つまり日本は無意識にというか、なるべくしてデフレへ舵取りをしたと考えるのである。 日本人のメンタリティはいざとなると縮こまって厄害を避けようとする…今回もその面が現われただけの話ではないか・・・と考えている。