ガン治療の方向性

 さて、「ガンは椎茸のようなものだ」とまで話は行ったが、椎茸の場合栄養源である木が死滅すると、木と共に椎茸も死滅してしまう。だが、椎茸の遺伝子は胞子や菌糸という形で放出され、子孫を残すことが出来る。その点ガンは栄養源である人間が死んでしまった後、生き延びる方法はないのだろうと思うが、オフは詳しく知らない。万一何らかの形で子孫を残すものとしたら、逆に言えばこれは大変なことである。いわゆるガンが伝染病やウィルスのように感染が起きるという事になるからだ。ガンに感染してガンになったという話はあまり聞かないから、そういうことはないのだろう。機会があれば動物の身体に出来たガンの終末までを実験室の中ででも見てみたいものだと思う。

ここではガンの仕組みよりも、その治療法について書いていくつもりなので話を戻そう。
現在のところ、外科手術・化学療法・放射線療法の3つが主なるガン治療法とされているのだが、何らかの形でガン細胞を殺したり撤去排除する臨床的な治療法ばかりである。逆にいえば、ガンの仕組みはいまだに分からず、根本的な治療方法が確立していないということだと思う。
さらにオフが今回受けた対症療法的な化学療法だが、人間の体がもつ免疫ガードシステムをぎりぎりまで下げて抗ガン剤を投与してガンをやっつけるという治療法は、言ってみればおおもとから間違った治療法だと思われる。
人間の身体の持つ免疫ガードシステムは正常ならば強化こそすれ、レベルダウンをするというのは既に流れに逆行しているという事だ。本来なら人間の健康のためならばガードシステムを上げる方向で治療が行われるべきなのだ。
それよりも何よりも、一日でも早くガンの仕組みを解明してそれへの治療法の確立のが大切な事だろう。その際、ガン細胞が遺伝子レベルでアポトーシスシステムを持たないという事と、何らかの形で遺伝子を残せない一代限りのモノであるという特徴を生かす、或いは発展させる方向でもって治療法が確立されるべきであると思う。つまり、「悪い奴はやっつけろ!」ではなく、生き延びる道を作り出し、人間にとっての悪性を良性にするという方向性が正しいと思うし、ガン細胞もそちらの方へ行きたがると思う。なぜならば、生命は遺伝子レベルでは快と不快しかなく、これは快の方向を示しているからである。概して近代西洋医学は、というより西洋近代の考えは「悪いものはやっつけろ!」という方法を取られていた。でもその方法では必ず最後は行き詰るはずである。最後に生命が生きる地球システムと逆行してしまうからである。


さてさて今日もキノコに関する余談を付け加えておく。
実はオフは笑い茸を食べたことがある。
まだ20代の頃、女の子と上高地へドライブへ行った。途中で泊まった民宿で出されたお汁の中に多分入っていたのだと思うが、食事が終ってしばらくしてから、何かお腹の辺りからしゃっくりのようなものが上がってくる感じがし始めた。それを見て同行の女の子は何か思い出し笑いをしているのか嫌な人と思った、と後で言っていた。
込み上げくるものはだんだん強くなり、確かにそれは、はたから見ればおかしくておかしくてたまらなくて涙を流しながら笑い転げているように見えただろうと思う。ところが、さらに込み上げくるものが強くなり、息を継ぐことも出来ないくらい苦しくなってきた。どうやらその辺りで相手も、(これはふざけているのではない大変なことになっている)と気がついたのだろう、宿の人を呼んで来た。そこの奥さんも慌てふためいて「救急車を呼ぼうか」と言っていたが、その辺りが最高潮だったらしく、徐々に込み上げてくるものは弱くなっていった。
落ち着いた後、あれはなんだったんだろうという話になり、笑い茸だったのかもしれないと奥さんが言った。こういうことは時々あるのかと尋ねると、話には聞いていたが、実際に見るのは初めてだと言っていた。多分、たくさん入っていなかったのであの程度で終わったが、量が多かったら最後は呼吸困難になっていただろうと思う。憎らしいことに相手の女の子には何の症状も出なかった。まあこんなことも笑い話の一つとして語れる年になった。

今日はここまでにしよう。